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信じられない。
もう玉砕するつもりで気持ちをぶつけたのに、
こんな展開、想像すらしてなくて、
「う、うそだぁ……」
「こんな状況で嘘つくわけねーだろ」
頬に両の手を添えて、ぽろぽろと零れ落ちる涙を親指で優しく拭ってくれた西谷は困り顔で、
でもどこか嬉しそうで、
こんな時でもかっこよかった。
「なあ、A。改めて言わせてくれ」
「……?」
「俺と付き合ってほしい」
これは現実…? 夢じゃないよね?
こんなに嬉しいことはない。
「うん、うんっ…!もちろんだよ」
こくこくと頭を縦に小さく振りながら言った私の声は嗚咽でたどたどしくなってしまったけれど、西谷はしっかり聞いてくれた。
その時の西谷の顔は今までに見たことがないくらい優しくて、大人びて見えた。
「へへっ、……ありがとな」
椅子から腰を上げて身を乗り出したかと思うと、
私の前髪をそっとあげて、額にキスを落とした。
「〜〜〜!!」
突然の出来事に声にならない声で訴えると、
「ははっ!顔真っ赤!」
いつもの調子でからかってきた。
「もう…!」
本当にずるい。
翻弄されるのは私ばっかり。
でもこんな風に笑いあえるのが嬉しくて、
間近で西谷のいろんな顔が見れるのが嬉しくて、
こんな日常がこれからも続いていくのかなと思うと胸が高鳴った。
勇気をだしてよかったな。
「さて、そろそろ部活行かねーとな!」
「そうだね!」
「Aも行けそうか?」
「うん、ばっちり!」
「よしっ!」
鬱屈した気分はもうどこへやら。
幸せに満たされた心で寝不足なんて吹っ飛んだ。
一緒に席を立った西谷のそばに寄って、
耳元に口を寄せて囁いた。
「……ありがとうね、夕」
「な、なんっ……!?」
目を大きく見開いたまま狼狽える西谷が面白くて笑った。
わーっと一気に赤くなった顔は愛おしさからか、なんだか可愛く見えた。
「さっきのお返し!」
「お、お前なぁっ…!」
「あははっ!」
わいわいと騒ぎながら教室を出た私たちは、一緒に廊下を駆け出した。
窓から零れる日差し。
渡り廊下から見えた風に揺れる木々たち。
いつも見る景色の何もかもが輝いて見えて…
心から幸せをかみしめた。
(これからもノヤと笑い合って過ごせたらいいな)
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紗久(プロフ) - 皆さま感想ありがとうございます(*^^*) (12月27日 0時) (レス) id: 905197e408 (このIDを非表示/違反報告)
ハルジオン - ノヤさんの夢小説の中で1番面白かったです♪ (2021年7月19日 16時) (レス) id: 03dceca1e6 (このIDを非表示/違反報告)
しょうゆ - もうオフノヤは普通に天使だと思う。異論は認めません。 (2020年7月31日 5時) (レス) id: f773b15172 (このIDを非表示/違反報告)
陽奈 - めっちゃ、ドキドキしました!ノヤさん好きだ〜 (2020年7月8日 15時) (レス) id: c8962603e4 (このIDを非表示/違反報告)
りんりん(プロフ) - ノヤっさんとあんな恋がしたいーー! (2020年3月22日 1時) (レス) id: 9bef0a6234 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紗久 | 作成日時:2018年8月11日 0時