お客さん ページ7
「おとのでないぴすとる〜、ばくだん〜」
あーちゃんは何を探しているのか、色んなところを漁っている。
よく分からない物がいっぱいある。
その中から一つ鞄らしきものを開けると、通信機器のようなものが。
「お〜〜〜っ?ひみつつうしん?」
あーちゃんは目を輝かせてボタンを押し始めた。
『それだいじょぶなやつ?』
「のーぷろぐれむ」
『プロブレムだよ』
何を入力しているのかなと覗いてみる。
「た、そ、が、れ、さ、ん、じょ、う」
『お、に、さ、ん、こ、ち、ら?』
…………これ、本当に大丈夫なやつ?
「ふーーっ」
あーちゃんは満足したのか、通信機器から手を離した。
『うわー、ぐちゃぐちゃ』
「はっ…!」
あーちゃんは消されちゃうー!と言いながら急いで片付け始めた。
ぼくもそれを手伝っていると、あーちゃんの手が止まった。
「……A」
『どした?』
「アーニャたちも"えすぱー"だってバレたら、でてかなくちゃ…」
『………』
蘇るのは、幸せとはいえない思い出。
娯楽も何も与えられない。ただ勉強を強いられる空間。
苦しかった、おもいで。
あーちゃんは鼻を啜った。
泣いてるのかな。
ぼくは無言であーちゃんの背中をさすった。
しばらく経った後、改めて道具を全部しまう。
たぶん、最初の頃となんら変わりない状態。お父さんも気づかない。はず。
さぁ、あとはお父さんが帰ってくるまでに早くリビングに戻らなきゃ。
そう思った矢先、だれかの足音が聞こえてきた。
『っ!!あーちゃん、お父さん帰ってきたかも……』
「えーーっ!?アーニャたちけされちゃう……!」
『早く戻らないと――』
扉に向けて走り出そうとした瞬間、向こうから扉が開いた。
「あ、ち…ち……?」
『…じゃ、ない………』
知らない男の人。
――お客さんかなぁ…?
「うお……ガキ?」
「……!」
……ちがう。お客さんじゃない!
あーちゃんが震えてる!!
(あーちゃん。この人、なに?)
"わるいひと!アーニャたちきけん!!"
悪い人?
ぼくたち、きけん?
なら、はやく逃げないと――!
……でもどうやって?
「チッ……悪く思うなよ」
そうこうしてるうちに、男の人はぼくたちを縛りつけようとした。
抵抗した。けど、大人の男性には敵わなくて……。
ぼくたち、とらえられちゃった……!
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