君は一体何者ですか【稲荷崎】

説教をされる ページ9

北信介 side





目にかかる程長い前髪のせいで表情は見れへんけど、普通の3年の校舎で迷った子やと思った



まさかその子が、男バレのマネ希望なんて思いもせんかった




俺に「私、稲荷崎高校男子バレー部のマネージャー希望です。」と凛とした声で言った子は今、俺の事を見つめてる




そんな彼女が前までのマネージャー希望のやつとは同じだとは思わへんけど、その可能性も捨てきれんから、俺は冷たく返事をする




『…本気でやる気あるんか？生半可な気持ちの奴は入って欲しくないんやけど』



そういう俺に彼女は口を開く




貴「私、生半可な気持ちで言ってないです。稲荷崎高校の男子バレー部の皆さんを支えたいと思ったからここに来ました」




ほーん、俺に言い返すか。面白い子やな




『部員目当てで入ろうとするヤツらも同じこと言うんや。言葉だけならなんとでも言えるで。』




俺のこの言葉に彼女は下を向く



…これで諦めるんなら、その程度やったって事やな




またハズレか…と自分の教室に向かおうとしたら、後ろで笑い声がした



その笑い声を不思議に思いながら振り向くと彼女が“笑っていた”




『…何笑っとるんや』




訳の分からん行動に少し顔を顰めながら俺は聞く




彼女は笑うのを辞めて俺の方を向く





貴「だって、先輩が面白いこと言うんですもん」





俺、面白いことなんか言うたか？





貴「部員目当てってなんですか？確かに北信介先輩とか顔整ってると思いますけど、私クソほど興味無いです。」




それを、本人の前で淡々と述べる彼女




貴「ちょっと自意識過剰じゃないですか？

マネ希望の子全員が本気でやる気ない訳じゃないです

私は本気でバレー部を支えたいんです。先輩有望な人材逃しちゃうので決めつけはやめた方がいいですよ」





そう嘲笑うように言う彼女





『…ふっ…ふふっ』





そんな彼女のせいで笑いが零れてしまう




『いやぁ、面白いなアンタ。初めてや、後輩に説教みたいな事されたんわ』




俺がそうゆうと彼女はハッと我に返ったんか「先輩に向かってすみません！！！！」と物凄い勢いで謝ってきよった



『気にせんでええよ。久しぶりに面白かったわ。アンタなんて言うん？』




貴「あっ、2年1組 植木Aです」



『じゃあ植木さん、来週の月曜 男バレ来てな、ほな』



後ろから何か聞こえるが気にせんで俺は歩いていく


面白くなりそうやな、なんて似合わへん事考えながら

ブヒャヒャ！！→←北信介先輩

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