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流星には好きな人がおる。
その事実を知ってからというもの、失恋したため明らかに元気のないオーラを漂わせる俺への友人のあたりはいくらか柔らかいものになった。
特に俺をいじりまくる後輩の小瀧は俺へのあたりが信じられないくらい優しくなった。
なんや、こんなことならもっと早くそういうオーラ出しときゃ良かったやん。
「…淳太センパイ、元気なさすぎとちゃいます？」
机に突っ伏した小瀧が上目遣いで俺を見た。
相変わらず男前な顔をしとる。
黙ってたらホンマ男前やのにな。
喋るとうるさくて、しつこくて、可愛くない奴。
「誰にでもそういう時あるやろ」
「いや、もう2週間は機嫌悪いですやん」
「……うざいなぁ、お前ははよバイト行けや」
嫌な絡みをしてこなくなったとはいえ、後輩の俺への話しかける回数は全く減らない。
好かれている分には嬉しいけど、好いてくれてるんか？と思うことも多々。
勉強の休息としてやってきた部室には毎回おるし、全く休息にならへん。
「淳太センパイが元気になるまでおるわ」
「おらんでええからはよ行き。無断欠勤はまずいで」
「ほな連絡します」
「アカン、迷惑かけるやろ。はよ行き」
小瀧は不服そうな顔をしつつ、渋々といった様子で立ち上がる。
「もう、しゃあないから行きますわ」
「普通やろ」
「真面目やなぁ」
荷物を持って、部室から出ていく小瀧の背を見送る。
悪い子やとは思わんし本来の性格として真面目で優しい子なのはわかるけど…なんで俺なんかにあんなにイジってくるんか意味不明すぎてちょっと怖い。
懐かれてるって思えばいいんかなと思いながら、でも小瀧が懐いとるんは俺やなくて神ちゃんや思うし。
「あ、淳太一人？」
うーんと考えていたら部室のドアが開いて、ちょうど考えていた相手が立っていた。
「神ちゃん」
うん、おはよ淳太
と笑う神ちゃんは今日も可愛らしかった。
「うん、俺一人やで」
「そか」
多分 俺やなくて小瀧に用があったんやろうな。
「俺帰るけど、神ちゃんもう行く？」
「あ、淳太もし帰るんやったらさ、一緒に帰らへん？」
「もう用ないん？」
「ん、ちょっと伝言伝えようおもただけやでな。淳太がええなら久々に帰りたい、ダメ？」
そんなん言われて断る奴おらへんて。
俺やって久々に神ちゃんと帰りたいし。
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作者名：塘 | 作成日時：2024年3月22日 21時
