1話 ページ3
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こつ…
後ろから足音がする。
体が強張り、心臓が早鐘を打つ。
自然と歩調が早まると、相手も早まった。
耐えきれずに、走り始めると相手も走る。
誰かに跡をつけられている。怖い、誰か誰か…
『…っ、助けて…‼』
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「…‼…っ‼…A‼」
『…⁉』
自分の名前を呼ばれ、目を開けると見慣れた天井が目に入った。
『ゆ、め…?』
なんだか懐かしい夢を見た。それも、思いだしたくなかった昔の夢
「大丈夫?随分うなされてたけれど…」
心配そうに聞いてきたのは、私の夫の国見英。
1年前に看護師として働いていた私の勤務先に、患者として入院して来た。
綺麗な顔立ちに、ぶっきらぼうだけれど
優しく趣味や好きなもの。そして、実家が宮城にある事まで同じだったわたし達は、お付き合いから結婚までさほど時間はかからなかった。
『大丈夫だよ。ちょっと嫌な夢を見ただけ』
安心させる為に、笑いかけると英は私を優しく抱きしめた。
「よかった…昨日は無理させすぎちゃったからさ」
英は妖しく笑いながら、私の腰から足を指でゆっくり撫でる。
そうだ…昨日私は英と…
昨夜のことを思い出して顔を赤くしている私に英は笑いながら私をからかう。
「昨日のAも可愛かったな〜俺の腕の中であんなに『うるさい‼』うっ…」
思いっきり脇腹を殴ると、呻き声が聞こえたけれど無視して布団にくるまる。
夜の行為は初めてではないけど、やっぱり恥ずかしいものは恥ずかしくて…
「ごめんって。お詫びに今日一緒にお出かけしよう?」
『え?お出かけ⁉』
英の言葉に思わず布団から出る。
「うん。今日会社休みだからどこにだって連れてってあげるし、なんでも買ってあげる。だからさ早く準備しよ?」
私の機嫌を伺う英の顔に愛おしさが込み上げる。
『うん、急いで準備するね‼』
布団から出て髪型を整えている私を、英は優しく見つめていた。
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クマ太郎(プロフ) - 国見にストーカーされるとかご褒美ですね。離婚しないでほしいです!!!これからも更新頑張ってください!! (2017年11月25日 23時) (レス) id: 77c1f67032 (このIDを非表示/違反報告)
無気力Love - もしあなたがストーカーでも私は構いませんお願いですから離婚しないでください! (2017年11月21日 23時) (レス) id: c85e2b5b2f (このIDを非表示/違反報告)
m(プロフ) - 湊さん» ありがとうございます。これからも更新頑張っていきます!! (2017年11月16日 7時) (レス) id: de15177d99 (このIDを非表示/違反報告)
m(プロフ) - ゆづさん» ご指摘ありがとうございます。これからもよろしくお願いします!! (2017年11月16日 7時) (レス) id: de15177d99 (このIDを非表示/違反報告)
湊 - コメント失礼します。毎回ドキドキしながら読んでます。これからも無理のないようにしてください。応援しています。 (2017年11月15日 21時) (レス) id: 152f694e28 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:αm | 作成日時:2017年7月22日 18時