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「いや、俺も知らないんだけど」
そんな台詞にAは首を傾げてしまう。
「だって彼女、いるんですよね？」
「『彼女』って、どういうのを指して言ってんの？」
苦笑混じりのその声にAは怪訝な表情を浮かべる。
「…どうって、キス、してましたよね？」
「Aちゃんともしたと思うけど」
サラリと返される言葉にAはカッと顔を赤くして彼から離れるように身をよじった。
瞬間、痛む右ひざに顔を歪めながら、震える唇を噛み締めて。
「…あ、あれは、忘れてください。気の迷いっていうか、意表を突かれてっていうか、…ってそうじゃなくて、いつも一緒に帰ったりしてますよね？」
「いつも同じ女の子ではないけどね」
確かにその通り。
3日と続けて同じ女の子だった試しがない。
「…好きじゃないんですか？」
「好きだよ。女の子はみんな可愛いから」
そう言っていつもの涼しげな笑みを浮かべる樹音先輩にAは呆然とした表情で見つめる。
「…誰でもいいんですね」
そう、彼はそういう人。
Aは最認識し、そんな彼に顔を赤くする自分が馬鹿馬鹿しくて。
ベッドに着いた両手でシーツをぎゅっと握り締めた。
「誰でもいいのはあの子達の方でしょ」
「え？」
声の抑揚は変わらないのに、吐き捨てるような彼らしくない台詞にAは思わず声を上げた。
「キスして、抱いてって言ってくるのはあの子達の方から。俺はそれに応じるだけ。」
「…好きじゃないんですか？」
「だから、さっき好きだって言ったよね」
「そうじゃなくて、！」
犬が好きとか、猫が好きとかそういうレベルじゃなくて。
キッとAが睨むと、彼は少しだけ寂しげな笑みを浮かべて立ち上がった。
「俺はあの子達にちゃんと応えないといけない？」
こんなに綺麗で、身長もあってバスケが上手くて、惹かれるなというほうが無理かもしれない。
今だって、夕日に染まる彼の姿から目が離せない。
その姿が逆光になって、彼の姿がAに重なって。
動けないのは足が痛いからだ。
頭の片隅でそんな言い訳をしながら、逃げることなく彼を見つめた。
「痛みが少しでも和らぐように。」
そう言って彼は少し目を伏せて、テーピングを終えたひざに唇を落とした。
そして上げられる視線。
それはAの視線と絡まって。
何度目のキスなんだろう。
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あいうえお - 解釈不一致なのに新しい道が開けたっていうか全て星様の文才によるものというか、ほんと面白いです、これからも応援してます！！！ジュノンくん最高！！！！！ (5月23日 21時) (
レス) @page1 id: 4e657aa584 (このIDを非表示/違反報告)
あいうえお - 天才すぎます、ありがとうございます、読み続けます、、、、 (5月23日 21時) (レス) @page1 id: 4e657aa584 (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - 最近の中で一番好きな夢小説です、！ (5月22日 23時) (レス) @page35 id: 7c9597bb9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星 | 作成日時：2023年5月18日 20時
