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次の日もいつものようにやってくる。
「あっ、お弁当」
Aは昨日の約束を思い出し、冷蔵庫の中を急いで探った。
「卵と鶏肉、人参に…」
出てきた食材を前にAは腕を組む。
「だし巻き玉子にチキンロール、レタスにプチトマト、後は…」
開くのは冷凍庫。
「冷凍食品で許して」
そう言いながらAは手早くお弁当を2つ作った。
ひとつはいつもより大きめのお弁当箱に、もうひとつはいつも通りに。
「うわ、マジでくれんの?」
驚くソウタにAは「うん」と頷く。
「じゃあ、私とは交換ね?」
笑顔でそう言ってくるマユには少し苦笑いを。
「ホントに大したお弁当じゃないよ?」
そう言っているのにマユは自分のはAに差し出して、Aのお弁当に手を伸ばす。
「すっげー!いただきまーす」
「え、これマジでAが作ったの?」
「簡単に作れるものばっかだって」
あまりに喜ぶ二人にAが困ったように呟くが、二人には聞こえないようでソウタなんかは何度も「うま!!」と言いながらお弁当の中身を口に運ぶ。
そんな姿に少し安心しながら、Aも差し出されたマユのお弁当を開けて「いただきます」と箸を取った。
中身は筑前煮にウインナー、野菜の天ぷらに飾りきゅうり。
簡単には作れないものばかり。
「Aって料理の天才?」
そんなマユの声に「全部レンジで簡単に作れるよ」と返すがやはりマユは「すごーい!」と声を上げながらチキンロールを頬張った。
Aは教室から窓の外を眺めながら右ひざを何度も撫でる。
雨かな?
そう思いながら昼からの授業を受けていると案の定、雨が降り始めた。
こんな時はどうしても右ひざに疼くような痛みを感じる。
そして、
「今日、一日休みます」
そんな高橋先輩からのメールに不安を覚えながらAは右ひざを庇うように立ち上がった。
「俺、委員会あるから先行っといて」
手を振るソウタに「うん」と頷き職員室へ鍵を取りに向かう。
部室の鍵を開けた後、体育館へ。
彼に会ったらどんな顔をすればいいのか。
どんなに考えても答えはなく、会わないなんてことも不可能。
深いため息を付こうとした時。
「早いね、Aちゃん」
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あいうえお - 解釈不一致なのに新しい道が開けたっていうか全て星様の文才によるものというか、ほんと面白いです、これからも応援してます!!!ジュノンくん最高!!!!! (5月23日 21時) (レス) @page1 id: 4e657aa584 (このIDを非表示/違反報告)
あいうえお - 天才すぎます、ありがとうございます、読み続けます、、、、 (5月23日 21時) (レス) @page1 id: 4e657aa584 (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - 最近の中で一番好きな夢小説です、! (5月22日 23時) (レス) @page35 id: 7c9597bb9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:星 | 作成日時:2023年5月18日 20時