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そんな突拍子のない言葉に振り向くと、やっぱり彼はにこりと笑う。
「無理です」
「なんで?」
「明日からお弁当だからです」
こんな目に遭うのが分かっていたら今日だって頑張って作ったのに。
「お弁当?」
「だから離してください」
「Aちゃん、何年何組?」
「………2年3組」
咄嗟に嘘をつこうと思ったけれど、季節はずれの転校生。
すぐにバレてしまいそうだったから素直に答える。
「分かった」
そう言うとAの腕はやっと解放され自由を獲得。
そしてAは逃げるように急いでその場を離れた。
「またね、Aちゃん」
そんな声は完全に無視して。
「遅かったじゃん!どこ行ってたの?」
教室に入るなり聞こえるマユの声にホッとしつつ、Aは席に倒れ込むように座り込んだ。
「どうしたの?」
「ううん、何でもない」
ただ猛烈に疲れた。
「ご飯は?」
「食べたよ」
「どこで?」
「…学食」
そう言うとマユは「マジ!?」と大声で驚くと、ソウタが「うるせぇ」とマユの頭を机に押さえ付ける。
「しかし勇気あんね」
珍しいものを見るようなソウタの目にAは小さくため息を付いて頭を机に預けた。
「売店で買えなかったからさ」
これは嘘じゃない。
「じゃあ明日は俺が買ってくる」
「お願いしようかな」
「まかしとけ〜」
そう言ってソウタが腕まくりして笑うから、Aもちょっとだけ笑った。
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あいうえお - 解釈不一致なのに新しい道が開けたっていうか全て星様の文才によるものというか、ほんと面白いです、これからも応援してます!!!ジュノンくん最高!!!!! (5月23日 21時) (レス) @page1 id: 4e657aa584 (このIDを非表示/違反報告)
あいうえお - 天才すぎます、ありがとうございます、読み続けます、、、、 (5月23日 21時) (レス) @page1 id: 4e657aa584 (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - 最近の中で一番好きな夢小説です、! (5月22日 23時) (レス) @page35 id: 7c9597bb9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:星 | 作成日時:2023年5月18日 20時