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参拾漆 ページ43



──────×ヶ月後。




荒覇吐事件に幕が下りて大分時が経った。
ポートマフィア楼閣の地下通路を私、紅葉様、そして中也さんの三人で歩いていた。
因みに私は今、紅葉様の下で中也さんの世話係をしている。


最下級構成員の私よりも上の地位に着いた中也さんを世話するというのも如何なモノかと思ったが首領に命令され紅葉様にも是非と云われたら引き受けるしかないだろう?


それに私が個人的に入社(?)祝いとして衣服屋に連れていった時、初めこそ首領御用達の高級感漂う店に気後れしていた中也さんだったが気に入ったスーツ等を見つけてキラキラと目を輝かせていた姿も見れたので佳かった。一張羅にするらしい。




「何故俺を会合に連れて行くんですか、姐さん」


「姐さんは止めよ、(わっち)は未だそんな齢ではない」


『そうですね、紅葉様は未だ成人なさっていないので姐さんと云うには早いかと』


「Aよ、何時も其方に云うてるであろう。私の事は呼び捨てで楽に話して佳いと」




じとーっとした目をし乍ら云われるのだが幹部である身分の御方に呼び捨てで楽に話す等、最下級構成員の私がして善い筈がない。
それに恐れ多くて私には無理だ。




『敬語は癖ですので……善処は致します、紅葉さん』




……之が私の限界だ。
可也頑張ったと思うのだが紅葉さんは少し呆れた表情をして溜息を吐いた。




「まあ今はそれで我慢するかのう……ああ、そうそう、理由は無論後学の為じゃ。今回の会合の相手は、さるマフィアのフロント企業、出された茶の一つ、会話の間一つがマフィアの趨勢を左右する」




それを聞いた中也さんが少し伏し目がちになる。
……心配等しなくても善いのだが、流石に入りたての彼には少し荷が重かったのだろうか?




「俺みたいな奴が同席して若し相手を怒らせちまったら?」


「その時はその時じゃ。その程度で傾く屋台骨であればいっそ派手に壊した方が粋というモノじゃ、そうじゃろう?A」


『ええ、その通りで御座います。なので中也さんは何も気にせずに堂々としていれば善いかと思いますよ』




紅葉さんと私の言葉を聞いた中也さんは少しホッとした表情をして子供らしい明るくて周りの者を元気付ける様な笑顔を浮かべた。
矢張り子供には笑顔が一番似合うモノだな。

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黒龍(プロフ) - 様々なオタクさん» もしやSAOの……?() (2021年6月12日 19時) (レス) id: b77228759e (このIDを非表示/違反報告)
様々なオタク - ヴァッサーゴ?!ヴァサゴ?!POH?! (2021年6月12日 18時) (レス) id: eccd7c5314 (このIDを非表示/違反報告)
黒龍(プロフ) - 布教する猫さん» コメントありがとうございます!更新に関しましては不定期になりますが頑張ります^^ (2021年1月16日 11時) (レス) id: b77228759e (このIDを非表示/違反報告)
布教する猫(プロフ) - すっっごく面白いです!!更新頑張って下さい!!(* ´ ▽ ` *) (2021年1月14日 20時) (レス) id: 0899319726 (このIDを非表示/違反報告)
黒龍(プロフ) - じしゃくさん» コメントありがとうございます!そして、そこに気付いて頂けて凄く嬉しいです……!! (2020年3月29日 17時) (レス) id: 9b97ad947e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒龍 | 作成日時:2018年5月21日 1時

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