弐拾捌 ページ34
「流れ者が多い土地だ、噂の出所も突き止めようがねえ……擂鉢街が如何やって出来たか知ってるか?」
「あれは大戦末期に原因不明の爆発が起き、その跡地に出来た街だ」
此方の大戦末期時代は知らないが若しかしたら前世の横浜租界にあるあの街もそうして出来たのかも知れない。
全く興味が無かったがもう少し歴史について調べておけば佳かったな。
「その爆発の原因が荒覇吐なんだとよ。噂じゃ八年前、捕虜になった海外の兵士が租界にあった軍の施設で拷問を受けた。その怒りと恨みが荒覇吐を呼び起こした。そして黒い炎がこの国の軍人を施設ごと吹き飛ばした。その爆発で出来たのが___」
「あの擂鉢街、という訳か……太宰君、どう思う?」
「恐らく僕達の知らない異能力が使われたんだ。若し先刻の映像が偽装じゃ無かったら僕達は終わりだね」
「やれやれ……太宰君、君に指令を出す。今日の映像と同じ事を先代派の前でやられる前に犯人を見つける事、いいね?」
首領が横目で太宰さんを見た。
構成員ならば断る事が出来ない様な有無を云わせない視線だったが太宰さんは違う。
彼は溜息を吐いて厭そうな顔をした後、近くに居た私の腰辺りに強く抱き着いた。
「時間が無さそうだけど、それ僕一人でやるの?」
「一人じゃ無いよ、そこの中也君にも手伝って貰いなさい」
「はあ!?」
「厭だよ絶対!何でこんな奴と一緒にやらなくちゃならないのさ。Aと一緒にやりたい!」
「何を云ってやがんだ手前!はっ倒すぞ、この餓鬼が!俺も手前より其奴とやりてぇわ!!」
「餓鬼は君も同じだ!大体僕よりチビな癖に!!Aは渡さないから!」
「あ゛ァ!?第一、其奴は手前のもんじゃねえだろ!」
「君はもう少し牛乳を飲んだ方がいい!」
「余計なお世話だ、この野郎!俺は十五だ、之から伸びッんだよ!」
『太宰さんも中也さんも落ち着いた方が……』
因みに私が知り合いの医者に聞いた限りでは牛乳を飲むよりも睡眠や生活習慣を確りとした方が身長は伸びるらしい。
まあ、それは置いといてヒートアップしていく二人を宥めようとしたが更に加速していくばかりで手の付けようが無くなった。
首領に助けを求める為に視線を送るとヤレヤレと少し困った表情を浮かべた。
「二人共黙りなさい」
少し強めに発せられた言葉に二人は黙り首領の方を見る。
たった一言で空気を又変えた所は流石は裏社会に君臨するポートマフィアの首領と云った所だ。
400人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黒龍(プロフ) - 様々なオタクさん» もしやSAOの……?() (2021年6月12日 19時) (レス) id: b77228759e (このIDを非表示/違反報告)
様々なオタク - ヴァッサーゴ?!ヴァサゴ?!POH?! (2021年6月12日 18時) (レス) id: eccd7c5314 (このIDを非表示/違反報告)
黒龍(プロフ) - 布教する猫さん» コメントありがとうございます!更新に関しましては不定期になりますが頑張ります^^ (2021年1月16日 11時) (レス) id: b77228759e (このIDを非表示/違反報告)
布教する猫(プロフ) - すっっごく面白いです!!更新頑張って下さい!!(* ´ ▽ ` *) (2021年1月14日 20時) (レス) id: 0899319726 (このIDを非表示/違反報告)
黒龍(プロフ) - じしゃくさん» コメントありがとうございます!そして、そこに気付いて頂けて凄く嬉しいです……!! (2020年3月29日 17時) (レス) id: 9b97ad947e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:黒龍 | 作成日時:2018年5月21日 1時