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拾壱 ページ15

───あれから半年。



時が経つのは早かった。
あの後、意外にもあっさりと組織に加入する事が出来、何故か入社祝い的な感じで先代首領から貰った金で衣服も全て変えた。
それに加えて一人部屋も貰えた。
先代首領ってあんな感じだったか?少し……否、かなり想像と違うのだが大丈夫なのだろうか。


話が逸れたな……組織内では彼方の世界で何回か経験し慣れた執事の真似事をする事にしたので使用人的な立場に居る事になった。
地位的には最下級構成員と変わらないが別に出世には興味無いので構わない。因みに部下が一人出来た。


しかし唯の使用人(の筈)であるのは流石に入手出来る情報が少ないので持ち前+転生(?)で強化されたスペックによって様々な人と関わりを持ち、依頼をこなし、偶に雑談等をしてマフィアと雖も平和な日々を過ごしていた。




そう、昨日迄は(・・・・)




現在私はこの事務所の最上階のフレンチ・ドアの前に居る。
理由は簡単。現在進行形で此の部屋の中で先代首領が森さんによって殺されたからだ。


原作が漸く進んでくれたので嬉しいのだが、流石の私でも入るか迷う。
このまま此のドアを開けられたら使用人の立場である最下級構成員の私が先代首領を森さんが殺した事を聞いてしまったとバレて色々な意味で終わってしまうのではないか?


未だ十五歳編にも突入していないのにこのまま死ぬのは流石に無理だぞ?なんて考えているとドアが開いた。
あ、逃げよう等と思ったが、どうやら森さんは最初から気付いていたらしい。
と云うのは実の処、呼んだのは森さんだったらしいのだ。話だと先代首領からの命令だと聞いていたのだが……正直、早く云って欲しかった。


返り血の着いたまま微笑んでいる森さんに一礼してから部屋の中に入ると先代首領は見事に喉元を掻っ切られ亡くなっていた。
短い間だったが可愛がられていたのもあり、その現実に少しだけ心にズシリと何かが伸し掛る。




「久しぶりだね、A君。今回君を呼んだのは先代首領の葬儀を頼みたいからだ。君なら完璧にやってくれると思ってね」


『了解致しました。処で時期首領は森さんで宜しいですか?』




ポカンとした表情で此方を見ている森さんを横目に先代首領の見開いた目を閉じさせてから合掌し黙祷した。
幾ら手を血に染め上げたとは云え、人の命の重みを忘れた訳では無い。
出来ればミミック戦以外では殺しもしたくない私は制度が余りにも酷かった死体処理の方へ回ったという訳だ。

拾弐→←拾



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黒龍(プロフ) - 様々なオタクさん» もしやSAOの……?() (2021年6月12日 19時) (レス) id: b77228759e (このIDを非表示/違反報告)
様々なオタク - ヴァッサーゴ?!ヴァサゴ?!POH?! (2021年6月12日 18時) (レス) id: eccd7c5314 (このIDを非表示/違反報告)
黒龍(プロフ) - 布教する猫さん» コメントありがとうございます!更新に関しましては不定期になりますが頑張ります^^ (2021年1月16日 11時) (レス) id: b77228759e (このIDを非表示/違反報告)
布教する猫(プロフ) - すっっごく面白いです!!更新頑張って下さい!!(* ´ ▽ ` *) (2021年1月14日 20時) (レス) id: 0899319726 (このIDを非表示/違反報告)
黒龍(プロフ) - じしゃくさん» コメントありがとうございます!そして、そこに気付いて頂けて凄く嬉しいです……!! (2020年3月29日 17時) (レス) id: 9b97ad947e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒龍 | 作成日時:2018年5月21日 1時

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