玖 ページ13
はぁ、と短く溜息を吐き天井を見上げる。
之は私に対する罰だ。逃げる事も隠れる事も出来ない、素直に受け入れよう。
そう云えば関係無い事だが写真を見て或る事を思い出した。
それは前世での、と或る日の結との会話。
___『又、文ストって奴か?』
___「うん!今日は黒の時代の小説。でも之、悲しいお話なんだよ」
___『悲しい話なのに読むのか』
___「好きだからね〜。お姉ちゃんも読む?」
___『否、いい。結が教えてくれるだろう?』
___「もう!今度ちゃんと読んでね!?教えるけど!」
___『判った判った、後で読む。で?どんな話だ』
___「太宰さんがマフィアを辞める切っ掛けが書かれてるお話……私はね、この話や他の小説も読んでからずっと思ってる事があるの」
___『思ってる事?』
___「太宰さんと織田作と安吾さんが“誰一人欠ける事無く”三人揃って馬鹿みたいな事したりして平和に暮らしてる世界があればいいのになぁって」
___『どの話でも誰かは欠けてしまうのか?』
___「うん。だからね、若し原作のお話の中に行けたら絶対に織田作を助けて、三人が平和に暮らしてる世界を守るの!」
写真の中で笑っている結を指で謎る。
そうか、そうだったな……結が望んでいた世界はそれだったよな。
太宰 治と織田 作之助と坂口 安吾の三人が誰一人欠けることなく平和に暮らしている世界。
平和に暮らすのは聞いていた三人の仕事設定上、流石に無理かもしれないが、ミミック戦で死ぬ織田を助ける事は出来る筈だ。
そして私はもう一人助けたいと思っている。
その人物は最期に戦った彼に似た男、“アンドレ・ジイド”だ。
彼の最期の開放された喜びに紛れて明るい未来を心の何処かで欲した悲しそうな笑顔をする人物を二度と生んではいけない。
彼が手に入れる事が出来なかった未来をせめてジイドには手に入れて貰いたい。
私には未だ時間がある、助ける事が出来る。
未来という名の暗闇の中に一筋の光が見えた気がした。
私の所為で亡くなってしまった彼女達にせめてもの償いとして彼等を助ける。
彼女が望んだ世界を私が実現させる。
それが私の出来る償いだ。
死よりも苦しくて辛い裁き?
上等だ。そんなモノ痛くも痒くも無い。
元から地獄に落ちる私にとって関係の無い事。
折角の
『彼女の願いを叶える為に……』
私は何としてでも彼等を守ってみせる。
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黒龍(プロフ) - 様々なオタクさん» もしやSAOの……?() (2021年6月12日 19時) (レス) id: b77228759e (このIDを非表示/違反報告)
様々なオタク - ヴァッサーゴ?!ヴァサゴ?!POH?! (2021年6月12日 18時) (レス) id: eccd7c5314 (このIDを非表示/違反報告)
黒龍(プロフ) - 布教する猫さん» コメントありがとうございます!更新に関しましては不定期になりますが頑張ります^^ (2021年1月16日 11時) (レス) id: b77228759e (このIDを非表示/違反報告)
布教する猫(プロフ) - すっっごく面白いです!!更新頑張って下さい!!(* ´ ▽ ` *) (2021年1月14日 20時) (レス) id: 0899319726 (このIDを非表示/違反報告)
黒龍(プロフ) - じしゃくさん» コメントありがとうございます!そして、そこに気付いて頂けて凄く嬉しいです……!! (2020年3月29日 17時) (レス) id: 9b97ad947e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒龍 | 作成日時:2018年5月21日 1時