レインボーサイト -LEO-

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「A･･･ちょっといい？」



学科合同の講義の始まる前


席に着いたところで
頬を少し強張らせたホンビンに声を掛けられる



『あぁ‥うん･･･』



こうして話すのは久しぶり



ずっと･･･気まずいままだったから



「その･･･この前はごめん」



バックパックのベルトの部分を
ぎゅっと握りしめ俯くホンビン



『････もう‥いいよ』



気にしてないって言ったら嘘になるけど
このままずっと話せないのは私も嫌だし



『私も‥ごめん』



彼の好意を
見て見ぬフリし続けた私も･･･悪い



「･･･あぁもう口聞いてくれなくなったら
　本当にどうしようかと思った･･･」



ベルトを握り締めていた手は脱力し
そのまま彼の端正な口元を覆う



『そんなわけないじゃない』


「いや･･･だって俺」


『ホンビン』



お願い



『その先は言わないで』



応えられないの･･･



「ちょっと････
　言うくらいはさせてよ」



苦笑いするホンビンは



「好きなものは好きなんだから
　こればっかりはしょうがないよ」



前とはどこか違った事を言う



『言わないでって言ったのに』


「うん、言われた」



想いを自分でどうにか出来ないのは
自分でもよくわかってる･･･


感情はコントロール出来ない



『ホンビン･･･私ね』


「あー･･･それこそ言わないで」



言おうとした言葉を遮るホンビンは
私の前に手の平を向けてそれを制止する



「聞かなくてもわかる
　だからそれ･･･言わないで

　実際にAの口から聞いたら
　益々ショック受けるから･･･」



自分は口に出したくせに
私のは口に出させないなんてずるい



「きっと聞いても、
　応援出来るほど俺‥大人になれない」


『･･････』



前まで会った朗らかなオリーブの笑顔は
少しだけ灰色に雲掛かる



『･･･わかった、ごめん』


「そんな顔しないでよ
　俺は今までみたいに
　Aと普通に話したいんだから」



そして付け足す



「･･･それで満足‥ではないけどね」



ホンビンの笑窪



なんだか･･･


ムジルリツグミが
ちょんと突いた跡みたい‥

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