レインボーサイト -LEO-

２３　-in those days- ページ24

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『あれ･･･すごく素敵な絵なのに』


「いや、あれは本当に
　気まぐれで描いただけだから」



どうやらあれは出品したものではなく、



「それなのにヒョシン先生が勝手に･･･」



あの絵を見た先生が
“色彩と人間”というテーマの
ちょっとした絵画コンクールに
彼に黙って応募をした経緯があったとか



「もう･･･困っちゃうよね」



そう言いながら
ヒョシン先生を思い出す
彼の儚い瞳にはまた潤みが･･･



『テグンさんは
　先生が好きだったんですね』



彼は目を伏せ小さく頷く



『それならどうして
　今日告別式に来なかったんですか？』


「･････」


『先生にお別れを
　ちゃんと伝えて欲しかった･･･』



音楽室で見せた様に
少しの迷いが生じる瞳


その目を一瞬だけ私に合わせ
コーヒーカップに視線を落とすと



「視たく･･･なかったんだ」



弱々しく掠れた声で呟いた



『････視たく‥ない？』


「自分もギリギリなのに
　人の悲しみにまで触れるのは
　今日は･･･耐えられそうもなくて･･･っ」




次の一言


それが彼の“秘密”だった




「俺ね･･･視えるんだ」


『･･･え‥』


「人の感情が“色”で視えるの」




“視える”瞳で私を捉え
私にはその瞳が透明になったように感じた



「だから･･･

　“真っ青”に染まる体育館には
　どうしても‥行かれなかった･･･」



悲しみのブルー



あぁ･･･


だから彼には
私が万年筆を失くして悲しんでいる時
“ムジルリツグミ”のように青く視えたんだ



受け入れ難い事を言われてるのに
“なるほど、だからか”って
冷静に受け入れちゃってる自分



彼の不思議な力



普通の感覚ならば
“何言ってんだ”とそれ事態を疑うか
“頭おかしいの？”と彼を変人と思うだろう




だけど秘密を知った私は



『･･･そうだったんですね』



そんな不思議な事が世の中にあるんだなぁって
それくらいの感想だったんだから
もしかしたらもうとっくに彼の虜なのかも

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