90minutes -TH-

“アンナ” ページ10

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“とにかく座って”とベッドに座らされ
彼女は隣に並んで腰かける



ﾃﾋｮﾝ｢“アンナ”って名前だったんだね｣


『まぁ本名じゃないけどね』


ﾃﾋｮﾝ｢え!?そうなの？｣


『そうでしょw
　本名使ってこの仕事してるコなんて
　早々いないよ･･･』


ﾃﾋｮﾝ｢え･･･じゃあなんて呼べばいいの？｣


『だから･･･“アンナ”だって』


ﾃﾋｮﾝ｢やだ、俺･･･
　キミの本当の方の名前で呼びたい｣



だって



俺は“アンナ”ちゃんを知って
彼女に会いたくなったんじゃなくて、

“素の彼女”を知って
彼女が気になって会いに来たら
“アンナ”ちゃんだったんだから



『なんでよ･･あんた客じゃん』


ﾃﾋｮﾝ｢客だけどやだ｣



ここにキミに会いに来る男と逆なんだって



『なんなのよ･･･』


ﾃﾋｮﾝ｢俺は“アンナ”ちゃんに
　会いに来たわけじゃないもん｣



少し困ったような顔をする



『どうして･･･
　私なんかに会いに来たの？』


ﾃﾋｮﾝ｢わかんない
　会いたいなって思ったから会いに来た｣


『そのまんまなのねw』


ﾃﾋｮﾝ｢そうだよ｣


　
　“私なんか”なんて言わないでよ
　俺本当に会いたかったんだから･･･




彼女は真っすぐにこっちを見るんだけど
その目が澄みきっていて
綺麗だなって思わず見つめ返してしまう



すると



『やっぱあんたおかしいわ』



彼女はそう言って微笑み
触れるだけのキスをする



『あー･･･私･･
　お客さんに自分からキスしたの初めてだ･･･』



急にハニかむ顔は
絶対に演技では出来ない表情だと思う



１度触れてしまえば
もう会いたかっただけでは
抑えきれなくなるのが男ってもの



もうこの時にはとっくに
彼女の事が好きだったんだと思う



『ねぇ･･･名前は？』


ﾃﾋｮﾝ｢テヒョン｣


『ここではあんたに会いたくない』


ﾃﾋｮﾝ｢･･･え？｣


『だから次から私を外に呼んで？
　ここだと“仕事”って
　思い知らされるからせめて外で会いたい』


ﾃﾋｮﾝ｢うん、わかった｣


『次会った時はAって呼んで･･･』


ﾃﾋｮﾝ｢A･･･｣




これが彼女との関係の始まり



彼女と２度目に会った日



俺は彼女の名前と体を知って、



『お客さんに本名教えたのも
　あんたが･･･初めてだわ』



彼女の客に変わりはないんだけど
ちょっとだけ･･･特別な客になった



そこから今も抜け出せないまま

変わった客-YOU-→←キミに会いに

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