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快晴と灰色の記憶 ページ14

[A]

「おはようございます、Aさん」
ゼルダさんに声をかけられ、朝なのだと理解した。
「お…おはようございます」
まだ眠い目をこすって、あたりを見回す。
リンクとゼルダさんが朝ごはんの支度をしていた。
「あ、あの」
ゼルダさんが振り返った。
「これ…ありがとう…ございます」
お陰で冷えるのを防げました、と言おうとしたが、言葉に詰まって言えなかった。
「いえいえ!さぁ、朝ごはんにしましょう!」
にこっと笑ったその顔は、とても美しくて、羨ましかった。

「いただきます」
3人で手を合わせる。フワフワのオムレツと、温かいミルク。昔の私はどんなものを食べていたんだろうか…。

食事を終え、ゼルダさんと洗濯物を干していた時だった。リンクはいつの間にやらどこかへ出かけてしまっていた。
「Aは、私のことを知っていますか?」
ふいに、そう聞かれた。
「…いえ、すみません…」
もしかして私は昔ゼルダさんと仲が良かった、とか…?だとしたら失礼極まりない。
「100年前の平和な頃に、自分が生きていたのは覚えています…。でも、その時私は何者で、誰と交流があったかは覚えていなくて…」
ちらりと横を向くと、ゼルダさんは悲しそうだった。洗濯物を干す手が止まっている。
「そう…ですか…」
「昔の私のこと、教えてほしいです」
ゼルダさんは少し驚いた顔でこちらを見た。

「…お昼過ぎに、あの頃私がよくお世話になっていたプルアさんという方が来られます。その時にお話しします」
100年前お世話になっていた、ということはとんでもないお婆さんなんだろうか…?
「…さぁ!残りの選択物も干しちゃいましょう!」
ゼルダさんは自分に言い聞かせているようだった。

吊り橋の向こうに、子供が2人、追いかけっこをしているのが見えた。
「あっ」
逃げていた女の子が転んでしまった。幸い草の多いところだったので、遠目から見れば軽いものだろう。追いかけていた男の子は非情にも女の子が転んだのをいいことにじりじりと距離を詰めていく。

「……!」


ーーー

炎が燃え上がり、阿鼻叫喚と化した城下町。
自分へ照準を合わせた巨大なからくりの兵。

『…………助けて………」

ーーー


「生きているんですね、私…」
誰に助けを求めていたのかは思い出せなかった。
それでも私は今生きているのだから、あの絶望的な状況で救いの手が差し伸べられたのだろう。

「……?生きていますよ。私達は」

太陽がまもなく真上を通過するところだった。

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作者名:みはね | 作成日時:2017年8月27日 8時

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