帰路オンザウェイ！ ページ31
2F-外廊下
それから私は保健室から出て、寮に歩きながら自分の境涯？とでもいうのだろうか、それを話した。というか、ほぼ強制的に、口を割らされた。
「え、そんじゃお前のあの糸のヘンテコ魔法、使うの初めてだったってことかよ」
『ヘンテコ言うな』
「おい、そんなことより見てみろ！俺の魔法石なんだゾ！」
首に着けた魔法石を嬉しそうに見せるグリム。
私もいろいろ聞いた。私が眠っている間に、ユウは『ゴーストカメラ』とやらを貰ったとか、
グリムとユウが二人で一人として、入学が決まったとか、ユウがグリムの監督役として、“監督生”になったとか。
『確かにユウ、猛獣使いの才能ありそうだよね』
.「そうか？」
笑顔でムチを振り回して猛獣たちの上に君臨する姿が容易に想像出来る。とは、口が裂けても言えない。
「お前もオンボロ寮の寮生なんだ、監督生っていうのは同じじゃないのか？」
『やだよ、僕は面倒なことはゴメンなの』
「だが、ドワーフ鉱山だってなんだかんだ言って最後まで付き合ってくれたじゃないか」
『誰かさんが無理やり連れてったからでしょ』
「まったく、素直じゃないなあ、お前は」
『ポジティブかよ』
やい、デュース。その、ウンウンと頷いて仕方ないヤツめって感じで撫でてくるのやめい。
…
「んじゃ、俺とデュースはこっちだから。またあし…」
『あ、エース、ちょっと後ろ向いて？』
「え、何…？」
『いいから、ほら』
「膝カックンでもすんの？」
『するか』
ちょっとやってやろうかとも思ったが、やめた。私は少し腰を低くして、エースのズボンを軽く叩いて払った。
「ちょ、なになに俺の足になんかついてた？」
『土がついてた。僕を保健室まで運んでくれたのってエースでしょ？』
たぶん私を運ぶ時、おんぶして私の靴の土がエースのズボンについたんだ。
初対面の時は関わりたくないと思うほど嫌だったけど、意外と良い奴かもしれない。
『ありがとね、エース』
純粋に気持ちを伝えたつもりだが、
「え？何ぃ？よく聞こえなかったんだけどぉ、もっと大きい声で言ってくんね？あと様付きな」
前言撤回、やっぱ嫌いだわ。
『あ゛ぁ〜りぃ〜がぁ〜とぉ〜ごぉ〜ざぁ〜い゛ぃ〜まぁ〜しぃ〜たぁ〜!!!エースざまぁ〜〜!!!』
「お前ほんっと可愛げねえな！」
『そりゃそっちだろ!!!』
本当に嫌な奴だ。
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作者名：トランプの化け物 | 作成日時：2020年8月16日 3時
