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65話 ページ26

___忘れもしない四年前



その年に私は大切な人を失った



_______



私は母さんが長官を務ている組織で働いていて仕事の時は母さんのことを長官と呼んでいた。


母さんは長官としての仕事があるし
私も潜入捜査や情報の処理と管理などの仕事が山ほどあり、
あまり母さんと私は一緒に過ごす時間は少なかった。


それでも母は少しの時間を見つけて私との時間を作ってくれた。

それだけで私は幸せだった。




だが、母さんは”ある人”に能力を使ってしまい体が弱ってしまった。


それが事の始まりだった。




ある日私は仕事で外に出ていた
だが、任された仕事はどうもおかしい



渡された封筒の中にはわざわざ人の手で渡さなければいけないような重要な資料は入っていなかった。


だが、長官である母はこれを私に届けに行くよう言った。


それはまるで私を遠ざけようとしているように、、、


そこで私は気づいた
母さんが何故こんなことを私にさせたのか。


私は慌てて本部に帰った。


ガタンッ!



私は建物の大きな扉を開けた。


建物の中は私が出る前はいつものように沢山の人がいたのに今は誰も居らず驚くほど静かだった。




そして、私は母さんがいつもいる長官室に息を切らしながら慌てて向かった。


A「長官!!」



長官室に入ると母さんは床に倒れていた。


慌てて駆け寄ると母さんは目を閉じ浅い呼吸をしていた。


A「長官!……………母さん!! 」


私が何度か呼びかけると母さんはゆっくりと目を開けた。


母「A?……ははは……やっぱりAにはバレちゃったか」


と、母さんは無理に笑っていた。


A「もう無理しないで………母さん……
能力を使ったん……だね……」





母「ええ……
だって能力を使っても……使わなくても……もう私はもたなかったと思うから……
でも、一秒でも長くAと居たかったな……」


母さんは辛いのを隠しながら話していた。


A「母さん…………」



母「怒ってる?……私が能力を使ったことに……だって言ったら絶対に止めるでしょ?」


A「うん……」


母「………A…………そんな顔をしないで……」


そう言って母さんは弱々しい手で私を抱きしめた。



母「何も言わずに……消えようとして………ごめんね……」


母さんの息が先程より荒くなってきて。


母「泣かないで……」


そう言って母さんは私の涙を拭った

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作者名:トランプの化け物 | 作成日時:2018年5月16日 16時

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