俺氏風邪ひいたってよ・月 ページ26
あー、次は俺かー。
冷えピタを撫でながらそんなことを思った。
マスターが持ってきてくれたお粥もなんだか味気ない。
「くっそ…」
頭はガンガンするし、無駄にぼーっとするし、あついし、寝れないし、総称して
さ、い、あ、くって感じだ。
「てかさ、これどうしろっつうんだよ…」
はくしゅんとくしゃみをする度に、バシュっやら、ドカンっやら不吉な音がしていたが。
____こいつらか。
コンコン、と床から生えてきたコンクリの柱を叩く。
さっき青の部屋を貫通したらしく「気をつけろっ!」なんて言われたけど、もはや何をどうしろというのだ。
まぁ、とにかく部屋はヒビだらけで、小人たちは危ないから地下室に避難してもらっている。
「ちょっと、青霧くん!月切くんの柱が屋上まで貫通しちゃったからプールの水なんとかできる?」
「俺病み上がりなんでうまく制御できないですよ…っと…」
「ひぃー!!ちょ、ギリ机燃やさないでっ!」
「あ、ごめんごめん」
「月切くーん!ご飯だけど降りてこられるー!?」
「あ…はい…すぐいきます…」
こうして始まった味のない食事。
座っているのにも気力使うし、なんて言ったって目の前の状況を表すには「混沌」の二文字に尽きるだろう。もしくは三文字で「カオス」
「っくしゅん、!」
ガッシャーン!
「わ!ちょっと月切!」
俺が咳やらくしゃみやらしようものなら
皿は割れるわ、床は変形するわ、謎の鉄骨湧き出てくるわ
「やっぱり大丈夫じゃないじゃない!月切くん、部屋で食べるよ!」
マスターに手を引かれてふらっふらな足を動かす。
「…っくしゅん!」
「きゃっ!」
「マスター!?」
マスターの悲鳴からみどはが飛んできた。
どうやらちょうどマスターのいた辺りの床を消してしまったらしい。
「ご、ごめん…マスター…」
「いたたた…大丈夫だよ。翠も、心配しないで?」
「はい。」
マスターに手を貸して起き上がらせたみどはがつかつかとこっちによって来て、そっと耳元に手を添えた。
俺の体温が一気に冷えたのは、
みどはの冷たく感じる手からか、耳元の声からか。
「…風邪治ったら殺す」
マスターにお粥を食べさせて貰いながら、風邪が治らなければいいのに、と願った。
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作者名:よっけおる x他2人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時:2017年7月12日 21時