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25話・翠 ページ28

「あ、部屋に入ったよ。掃除でもするのかな。…あれ?部屋普通に綺麗なんだけど」
「………。」

藍くんはなんだか心配している風にこちらを見ている。

「…どうしたんだい。私に穴でも空ける気かい?」
「いや、えっと。うん。まだわからないしね。ちょっとその部屋がどんな感じか詳しく教えて」
「あぁ。えっとね。なんかすっごいピンク色してる。目が痛くなりそうだな。」
「うっそ……まじか」

藍くんは右手で目を押さえた。想像して目が痛くなったのだろうか。

「あとは、なんかお風呂の壁がガラスっぽいよ。趣味悪いね」
「もう!もう大丈夫だから!言わなくていいよ!!!」
「なんか男の人、入ってきてるんだけどこの人あの子の父親とは別のひとだ」
「わー!わーーー!!!!」

ちょっと待ってろ目を閉じて待ってろ絶対何も見るなよ。
半ば叫ぶようにそう言って、藍くんは屋上を去った。
そしてすぐに戻ってきた。異様に息を切らしている。そしてそんな彼の後ろにはマスターが。

「…っミド、今すぐに、…偵察を、終わらせて」
「え、何故だい?まだこれといって収穫がないんだが」
「十分だよ!!収穫がでかすぎたよ!!!!」
「えぇ…」
「翠。そろそろ潮時なんじゃないかしら。」

私の肩を掴んで力の限り揺さぶる藍くんの後ろでマスターが苦笑いしていた。

「…マスターが言うならやめます。でもちょっと待ってください」

肝心の実験のほうはまだできていない。
まず父親のほうは月切くんがひとりでやりたいと言っていたのでどうかと思ったが、念のため実行することにする。
蔦を伸ばし、できる限り細く、鋭く変形させ、腕のあたりに突き刺す。
見えてはいないだろうから虫に噛まれた程度にしか思っていない筈だ。
突き刺し皮膚の下へ、肉を突き抜けて血管へ。そこに種を置いた。発芽のタイミングは此方のほうで自在に操れる。決行当日、頃合を見て成長させるつもりだ。
次に母親のほう。何故か服を脱いでいたので仕事が捗った。父親のほうはやりにくかったので腕にしておいたが次は背中が見えているのでそっちに突き刺す。
先程と同様、血管に種を植えつけた。血流に流されて最終的には心臓に向かうようにしている。
そこに根を張らせる。それも此方のほうで調整する。

「順調かしら」
「上手くいくかはわかりませんが、無理でもなんとかさせます。」

彼が五月蝿かったので偵察に出した蔦を引き戻す。遠出だったからか肩が凝った。
肩を回していると彼が安心したように胸を撫で下ろした。

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月見ノ(プロフ) - Gingerさん» わざわざありがとうこざいます、メンバーは6人になる予定です!これからもよろしくおねがいします! (2017年7月6日 22時) (レス) id: 27b064b5c3 (このIDを非表示/違反報告)
Ginger - Incredibile!Divertente!(凄い!面白い!ってことです) (2017年7月6日 15時) (レス) id: bc44d2c5f5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:よっけおる x他2人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/  
作成日時:2017年7月3日 21時

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