24話・翠 ページ27
依頼の決行は明後日だと彼は言った。
「…なら、十分に時間はあるな。」
明日一日、屋上にいよう。
決行日前日、朝。
人体に種を植え付けることはできるのか。やったことはないし、今までそんなこと考えもしなかった。どうなのだろう、できるだろうか。ためしに月切くんで実験でもしてみようか。
そう考えもしたのだが、なにやら地下でいろいろとやっているらしい。
ああいう時の彼には近づかないほうがいい。怖い目をしているから。
まあ、今はこっちの仕事に集中しよう。
毎回、決行日の前日は店の手伝いを休むことにしている。
マスターからの提案もあり、私の能力を応用して偵察をすることになっている。
腕を蔓に変えて伸ばし、地を這わせ標的を探し、追う。
少女の両親の顔ならすでに見せてもらって、記憶している。見間違えることはまずないだろう。
そして、私が標的を見つけられないということも、確実にない。
「私から逃げられると思うなよ…」
そんな悪の幹部のような台詞を吐いてみながら、遂に店から離れた市街地で標的をマークする。
父親のほうは話に聞いていた通り、パチンコ店で遊び呆けているようだった。
「ミド、どう?見つかった?」
藍くんがやってきた。いつものように挨拶をして、標的のどちらも見つかったと返事をする。
「やっぱりすごいな。で、どんな感じ?」
「あぁ。父親のほうは話の通り。ずっと遊んでるらしいよ。負けてるみたいだけど。」
苦い顔をしながら台に金を注ぎこんでいる。
「うわぁ…。母親のほうはどう」
「うん。母親のほう…がー、スーツ着てるみたい…だけど…」
「けど?」
「…仕事…には行ってないっぽいね。」
「本当?」
「あぁ。」
仕事にも行かないでどうやって金を稼いでいるのだろう、そんな話をしながら母親の動向を探っていると、母親の行き先がようやくわかった。
「ここは……ホテル?かな。看板がある」
「えっ」
「このひとホテルで働いてるのかもしれないな。どうなんだろう」
「えー、あの。え…」
「もう少し見てみるよ。なにか弱みでも握れないと偵察の意味がない」
そんな感じで引き続き母親を蔓で追いまわしていたのだが、なんだか藍くんがうろたえているようだった。
「どうかしたのかい?」
「え、いやー。僕は見えてないからなんとも言えないんだけど…。うん。本当、なんとも……」
「??」
「まぁいいや。なんでもないかもしれないし。」
「うん?」
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月見ノ(プロフ) - Gingerさん» わざわざありがとうこざいます、メンバーは6人になる予定です!これからもよろしくおねがいします! (2017年7月6日 22時) (レス) id: 27b064b5c3 (このIDを非表示/違反報告)
Ginger - Incredibile!Divertente!(凄い!面白い!ってことです) (2017年7月6日 15時) (レス) id: bc44d2c5f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:よっけおる x他2人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/
作成日時:2017年7月3日 21時