23話・真 ページ26
「…ふわぁ」
自室に入った途端に、大きく欠伸をしながら、だらしなくソファにもたれかかった。
柔らかい背もたれの感触が、自然と全身から力を奪っていく。
今日の会議で言われた内容を頭の中で再生しながら、作業机と向き合った。
作業机、と自分自身で言っているものの、その実態はフィギュアと空き箱が並んだ悪夢の机である。
この机を見た月切の一言は、どうしてこうなった。だった気がする。
___あんたに言われたくない。
心の底からそう思った。
少し思考回路が脱線したところで、本題に戻ろう。
今回の会議で頼まれたのは、毒薬の準備と、それを使っての標的の衰弱だ。
いつも通りのささやかなサポートポジションが自分の定位置である。
そんなことを考えながら、おもむろにソファから立ち上がった。
小さく伸びをして、薬品棚に向かってのんびりとした足取りで進む。
立ち止まり、戸を開けて、中を見渡した。
自分がその気になれば、中に入れてしまいそうなほどに広い棚だ。
「……うーん」
一つ目は、ぼーっとする感じの毒。
二つ目は、じわじわくる毒。
「………うーむ」
おそらく月切のことだから、じわじわくる毒は大分強めのものをご所望だろうな。
「……これかな」
何気なくそんな憶測をしながら、棚から二つの小瓶を取り出した。
どちらの瓶にも、一見毒には見えない透明な液体が、並々と注がれている。
小瓶の蓋の印は、どちらも危険を示す赤い色をしていた。
瓶に貼られた付箋に書いてあったのは、きっと薬品の名前だ。
自分でも読めるか怪しいレベルの殴り書きに、思わずため息が出た。
「…はぁ…当たりだ。」
それはさて置き、何となく取り出した二つの小瓶は、どちらも月切が求めている条件に適していた。
まぁ、月切に渡すのは後でいいだろう、さっき地下に向かっているのを見かけた。
多分、今は近づかないのが得策だ。
相手にとっても、自分にとっても、良いことなんてないだろう。
「……ゔううぅ……二度寝しよ。」
まだ塞がったばかりの腹の傷をさすり、眼鏡を外して机に置いた。
ベッドに向かって歩き出す。
ふらついた足取りでようやくベッドまでたどり着いた。
布団に潜り、目を瞑ると、少しずつ、意識が沈む感覚がした。
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月見ノ(プロフ) - Gingerさん» わざわざありがとうこざいます、メンバーは6人になる予定です!これからもよろしくおねがいします! (2017年7月6日 22時) (レス) id: 27b064b5c3 (このIDを非表示/違反報告)
Ginger - Incredibile!Divertente!(凄い!面白い!ってことです) (2017年7月6日 15時) (レス) id: bc44d2c5f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:よっけおる x他2人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/
作成日時:2017年7月3日 21時