33．顕現 ページ36
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落ちていく。落ちていく。
思えば。
たくさんのものを、置いてきてしまった。
仲間。先輩。
友人。幼なじみ。
いつのまにか手元にあった大切なものたち。
私にはもったいないくらいの。
それに、こんな暗闇にも。
星が。
──星。
遠い、遠い、彼方の星。
……そうだ。先生もいる。
きっと、怒るだろうな。
みんなも。悲しんで、くれるかな。
未練は、残したくなかったのに。
落ちていく。落ちていく。
……やっぱり、ダメだ。
どうしてもどうしても、
残してきたものばかり浮かんでくる。
届くはず、ないけれど。
叶うはず、ないけれど。
願わくば、誰でもいい。
誰か
────この手を、取って
◇ ◇ ◇ ◆ ◇ ◇ ◇
視界が晴れていく。
光が弱まるように、少しずつ、少しずつ。
「無事か？」
「あー、うん。なんともない」
「何が起きたのよ……」
肌がひりつくほどの呪力。
痛いというより、圧されているような。
不思議な感覚だ、と恵は思った。
およそ呪力らしくない呪力。
真っ白い光が、完全に消える。
「……？」
何かが立っていた。
倒れている漆葉を後ろに庇い、呪霊と対峙して。
「──誰よ、あれ」
野薔薇の反応は、恵と悠仁の胸中をも代弁していた。
第一印象は、白。
色のない髪。病的に白い肌。
飾り気のない白のワンピース。
外見は同じくらいの年頃の少女に見えるが、
どこか異質で、清廉な気配。
ただ、その瞳。
そこだけは鮮やかに色があるものだから
当然見逃せないのだ。
──新緑を映したような、鮮やかな緑色が。
〈邪魔ダ。退ケ〉
「……」
彼女は、何も話さない。
しかし、フッと
予告なしに右手を上げて、
「…！ 伏せろ！！」
一閃。
頭の上を掠める呪力。
轟音がとどろき、天井が落ちる。
「……」
しばらくして、がれきの音が止んでから。
おそるおそる頭を上げると
対峙していたはずの呪霊はおらず。
──正確には、呪霊の上半身はなく。
周囲の壁には、
何かでまっすぐ横に斬ったような痕。
そして見知らぬ少女の右手には
どこから出したのか、白銀の刀が握られていた。
「な、んだ。これ」
人間じゃない。
術師でもない。
なら呪霊か？
……いや違う、その感じはしない。
じゃあ、なんだ。
混乱の向こうで。
スっと、白の少女はこちらを見据えた。
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Sn(プロフ) - プスメラウィッチさん» コメントありがとうございます。五条悟オチです。長めのお話になる予定なので、頑張って完結させたいと思います。 (2021年8月26日 22時) (
レス) id: 812f073419 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか？できれば五条悟オチでお願い出来ますか？続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年8月25日 23時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
Sn(プロフ) - Spicaさん» ありがとうございます。励みになります。 (2021年8月25日 14時) (レス) id: 812f073419 (このIDを非表示/違反報告)
Spica(プロフ) - とても面白いです！続き期待してます！ (2021年8月25日 14時) (レス) id: 68c958f74e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Sn | 作成日時：2021年7月24日 16時
