21.夏祭り ページ23
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……というわけで。
「うおー! すっげー賑わい!」
「さっすが都会の祭りね!」
来たる土曜日。堂々の晴天。
沈みかけの太陽の下、勇んで街道を練り歩く。
「なあなあ、俺焼きそば食いたい!」
「ったくお子さまね……
祭りと言えば焼き鳥でしょ!」
「たいして変わんねぇだろ」
思い思いにはしゃぐ同級生たち。
悠仁や野薔薇はもちろん、
恵もいつもより表情が柔らかい。
「…祭りのたこ焼きって
なんでこんなに美味いんだかな」
「高菜」
「美味けりゃなんだっていいだろ」
それから先輩たち。
…パンダ先輩、目立ちすぎるかと思いきや
雰囲気に呑まれて意外と紛れ込めている。
皆それぞれ、楽しみ方はいろいろ。
新鮮な浴衣姿も非日常感を醸すいい材料だ。
『……なんか、個性が出てていいね』
「どういうことよ?」
『浴衣。みんな似合うな〜って』
隣にいる野薔薇ちゃんの浴衣は
藍と白の大ぶりな百合の柄。
悠仁はグレー、恵は黒。
真希先輩はちょっと大人っぽい、
黒のストライプと椿の柄。
狗巻先輩は白、パンダ先輩は……お面つけてる。
それから。
『…五条先生すごい』
「顔だけはいいから」
浴衣はシンプルな紺の無地。
けれど今日は、
いつもの目隠しではなくサングラス姿だった。
レンズの奥の端正さを目ざとく見抜いた人たちが
しきりに盗み見ようとしている。
およそ数え切れないくらいの視線。
「あーあ、だまされちゃって」
『…パンダ先輩があんまり注目されてない理由、
なんとなくわかったかも』
「あんなのが先頭にいればね」
当の本人はこんな状況にも慣れているのか、
全く気に留める様子もなく祭りを満喫している。
さっきまでから揚げを食べていたのが、
今度はクレープを頬張っていた。
片手にベビーカステラの入った袋を下げて。
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Sn(プロフ) - プスメラウィッチさん» コメントありがとうございます。五条悟オチです。長めのお話になる予定なので、頑張って完結させたいと思います。 (2021年8月26日 22時) (レス) id: 812f073419 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年8月25日 23時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
Sn(プロフ) - Spicaさん» ありがとうございます。励みになります。 (2021年8月25日 14時) (レス) id: 812f073419 (このIDを非表示/違反報告)
Spica(プロフ) - とても面白いです!続き期待してます! (2021年8月25日 14時) (レス) id: 68c958f74e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Sn | 作成日時:2021年7月24日 16時