2.疑惑 ページ3
.
そんなこんなで。
悶々としていたらいつの間にか夜が明けていた。
昨日のことは全部夢だったんじゃないかと
そう思いながらリビングに向かう。
テーブルの上。
紛うことなき“
◇ ◆ ◇
当然、このままじっとしていることなんて出来ない。
息巻いて向かった場所は
東京都立呪術高等専門学校。
端的に言って、私の庭である。
他でもない五条さんによく連れてこられた場所。
初めの記憶はずいぶん古く
おかげで大抵の人とは顔見知りだ。
その中でも今回選んだのは、医務室。
『家入さん、これ差し入れです』
「あぁ、いつもありがとう」
相変わらず濃い隈をつくっている家入さん。
笑顔はあまり見たことはないけれど
本当はとても優しくて、
───五条さんを、よく知っている人。
今日、あの人はここにはいない。
しばらく出張だという話は事前に掴んでいる。
だからこそ差し入れとは名ばかりの口実を片手に
こうして乗り込んだのだ。
幸運だった。
それもこれも、全部。
「……本題は何かな」
『え? まだ、何も』
「いいや、ずいぶん疲れた顔をしているよ。
私で良ければ、話を聞こう」
早々に見抜かれて肝が冷えた、けれど。
気を取り直して口を開く。
『実は___』
◇ ◆ ◇
「あー……そういうこと」
一通りの説明を終えると、家入さんは
早くも合点がいったような様子で遠い目をした。
「あいつ、ついにやったんだね」
『? やった、って』
「ずっと言ってたんだよ。
君の誕生日が待ち遠しいって」
『16歳の?』
「そう、16歳。
成人していなくても、女性は
16になれば結婚できるだろう?」
『……って、ことは』
「昔からそのつもりだったんだと思うよ、あれは。」
呆れ半分、諦め半分で家入さんはため息をつく。
やってられないと言わんばかりに
くるりと椅子を回した。
『……』
とんでもないことを聞いてしまった、と思った。
昨日に引き続き。
近しい人の秘密を知ってしまった時
どうしようもなく気まずくなるのは避けられない。
私は今、現在進行形で百面相している。
『あの。昔って、いつからなんでしょう』
「んーまあ、かなり前の話じゃない?
気づいた頃にはそんなこと言ってたから」
『そ、そうなんですね』
さらなる気まずさの壁を
開いてしまった気がするのは気のせいか。
.
323人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Sn(プロフ) - プスメラウィッチさん» コメントありがとうございます。五条悟オチです。長めのお話になる予定なので、頑張って完結させたいと思います。 (2021年8月26日 22時) (レス) id: 812f073419 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年8月25日 23時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
Sn(プロフ) - Spicaさん» ありがとうございます。励みになります。 (2021年8月25日 14時) (レス) id: 812f073419 (このIDを非表示/違反報告)
Spica(プロフ) - とても面白いです!続き期待してます! (2021年8月25日 14時) (レス) id: 68c958f74e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Sn | 作成日時:2021年7月24日 16時