16．素敵 ページ17
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そこにあったものとは。
【東京観光おすすめスポット20選！】
【東京の人気カフェランキング TOP30】
【東京で買い物するならココ！
人気おすすめショッピングスポット】
……などなど。
大量の付せんが貼られた観光雑誌と記事。
それから、赤印の入った都内各所の地図。
もはや束のようになった、東京研究の痕跡。
あぁ、もう仕方がない。
……と、口に出ていたかもしれない。
漆葉は素直に観念して、言葉を選びながら語る。
『…私、東京で育った癖に
お洒落なカフェとか、素敵な古着屋さんとか、
何も知らなくて。
今までは、それでもいいか、って
思ってたんだけど、でも──』
「あー、なるほどね。だいたい分かったわ」
野薔薇はなぜか早々に納得して
ベッドの縁に腰掛けた。
今だから言うけど、と
彼女らしくない前置きの後に言われたことは。
「アンタ、私のこと避けてたでしょ」
『……え』
「やっぱり図星か。
……最初はなんでだろうって思ってた。
私、何かしたっけ？って」
『そんなこと、』
「そうね、違ったみたい。
私じゃなくてアンタの方に問題があったのよ」
後ろめたさで何も言えなくなっていると
ん、と死守すべきだった研究資料が返されて。
「こんなの無くたって、失望なんかしないわよ。
そもそも、私そんな小さい女じゃないっつーの」
『……野薔薇ちゃん』
「知らないならお互い様だし、
なんなら一緒に行けばいいじゃない。
地図と睨めっこしてても面白いことないでしょ」
期待には、応えられないから。
そう思うと何となく居心地が悪くて
一方的に避けてしまっていた。
彼女の望む、
キラキラした都会女子っぽい知識。
私じゃ、きっとダメだと思った。
だから勉強した。
野薔薇ちゃんの思う、東京の女の子に近づくために。
小さい女とは、まさに私のことだ。
「それにね。アンタがカフェとか服とか、
そういうのに興味無いのはわかってたわよ。
全っ然話に乗ってこないんだもの」
『はは…バレバレだったんだ』
乾いた笑いが漏れ出て、
それでも胸はあたたかかった。
まるであの時、
「＿＿＿一件落着か」
『…うん』
「さ、計画立てましょ！
今度皆で出かけるんだから」
「は？ 聞いてないぞ」
「いま決めたんだから当然でしょー？」
苦手なんてとんでもない。
こんなに素敵で格好いい女の子を
私はこの日、初めて知った。
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Sn(プロフ) - プスメラウィッチさん» コメントありがとうございます。五条悟オチです。長めのお話になる予定なので、頑張って完結させたいと思います。 (2021年8月26日 22時) (
レス) id: 812f073419 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか？できれば五条悟オチでお願い出来ますか？続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年8月25日 23時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
Sn(プロフ) - Spicaさん» ありがとうございます。励みになります。 (2021年8月25日 14時) (レス) id: 812f073419 (このIDを非表示/違反報告)
Spica(プロフ) - とても面白いです！続き期待してます！ (2021年8月25日 14時) (レス) id: 68c958f74e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Sn | 作成日時：2021年7月24日 16時
