15.暇 ページ16
..
暇。
とても暇。
外出禁止。
そもそも部屋から出ることすら禁止。
熱も下がっていつもの調子が戻ってくると
さすがにやることが無さすぎる。
夕方以降はいいとして、
昼は一人で時間を潰すしかない。
みんな授業や任務があるから、
仕方ないと言えば仕方ない───
コンコン。
…え?
戸惑っても考える時間はなく
ガチャリと扉が開いた。
「入るわよ漆葉」
『…野薔薇ちゃん?』
来客の姿を認め、壁掛け時計を見やる。
午後2時。まだまだ日は高い時間だ。
『授業終わったの?』
「全部自習。後で伏黒も来るわ。
…ったくあの教師、事前に言っときなさいよね」
『あ、あはは』
「アンタどうせ暇でしょ?
どうせなら暇つぶしに付き合ってやろうってね」
『ありがと。すごく助かるよ』
当然、と得意げに鼻を鳴らす。
事実、同級生二人組は
私の暇つぶし貢献度ランキングにて堂々の1位。
週に3回は皆で集まってお喋りするのが常だった。
「で、アンタ何やってたの?」
『えっ。あ、ううん、別に大したことじゃないよ』
「何よ、その言い方。余計に気になるじゃない。
……しかも今、なんか隠したわね?」
『これは、その…とにかく違うよ』
「違う? 怪しさ満点よ! ほら、見せなさい!」
『わっ、ちょっと…!?』
遠慮なく飛び込んでくる野薔薇ちゃん。
距離の近さには少しずつ慣れてきてたけど、
──って違う、そうじゃない。
死守。これは全力で守らなければ。
“それ”を持った右手を高く挙げ
なるべく彼女から遠ざける。
「往生際、悪いわよ…っ!」
『だ、だってダメなんだってば……!』
あっちが有利、こっちが有利。
そんな膠着状態がしばらく続く。
このまま泥沼対決かと思われた所へ。
「……何やってんだ、おまえら」
遅れて参上、もう一人の同級生。
『あ、恵』
「隙あり!!」
『あ! ダメダメ野薔薇ちゃん!』
一瞬が命取り。
恵の登場に気を取られて緩んだ指先から
あっという間に奪われてしまった。
「よしっ、ゲット!」
「…ほんと何やってんだ」
「これ? 漆葉の秘密を暴こうの会。
なーんか怪しかったから証拠品押収してたのよ」
「よくわからんが。それが証拠か?」
「そうね。…そのはず、なんだけど」
予想と違う。
──そんな表情で、野薔薇は“それ”を見ていた。
▽
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Sn(プロフ) - プスメラウィッチさん» コメントありがとうございます。五条悟オチです。長めのお話になる予定なので、頑張って完結させたいと思います。 (2021年8月26日 22時) (レス) id: 812f073419 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年8月25日 23時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
Sn(プロフ) - Spicaさん» ありがとうございます。励みになります。 (2021年8月25日 14時) (レス) id: 812f073419 (このIDを非表示/違反報告)
Spica(プロフ) - とても面白いです!続き期待してます! (2021年8月25日 14時) (レス) id: 68c958f74e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Sn | 作成日時:2021年7月24日 16時