君をずっと待っていた。【佐野万次郎】 (ページ3)

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第1話ページ3

side-A

父「Aももうすぐ中3だろ？そろそろこの先の将来のことについてもっと考えなさい。」

最近、顔を合わせる度にそう言ってくる父に心底うんざりしてくる。そして父に負けじと母も

母「そうね！お父さんの言うとおりだわ！いくら中高一貫の学校に通ってるって言っても、この先の将来に向けて今よりもっと頑張らなくちゃね！」

などと薄っぺらい笑顔で、いかにも自分たちの言うことが正しいのだという自分達の意見を押し付けようとする両親達はほんとに自分勝手だと思う。

「う、うん…お父さん達の期待に応えられるように私、もっと頑張るね！」

そう言って、「ご馳走様。」と食事を済ませ食器をキッチンの流しに下げると、足早に自室へと歩いて行った。

─信じてたのに──

小さい頃からずっと、両親の言うことは全て正しいんだと思っていた。両親の期待に応えれば応えるほど、たくさん褒めてくれた。
「頑張ったね。」と笑顔で頭を撫でてくれる度に嬉しくてもっと頑張ろうと思えた。

だけど、今となっては両親の期待も言葉も全て"私"を縛り付ける鎖となっている。
自室の電気も付けないまま、ベッドに座りただただこの場所から"逃げ出したい"と思うしかなかった。