少しでも*緑×紫* ページ5
好きな人と少しでも一緒にいたいのは当たり前のこと。
喋りたいし、何かしらで繋がっていたい。
それがたとえ一方通行だとしても。
「しんちゃんっ！！」
「お、たつくん。どした？」
「これっ！読んだ！」
「おぉ、どやった？」
「面白かったよ。なんか、しんちゃんが好きそうやなって思った。」
「あはははっ！！！まぁ、せやな！俺の趣味全開や！」
本ひとつ渡す時でも逃さない。
ほんのすこし、不自然にならないように。
それでも、しんちゃんの体温が伝わるぐらいで。
たった2本の指が、触れる。
あぁ、幸せ。
「次は？」
「あ、そう！ちゃんと持ってきたで！ほいっ！」
「ありがとう！！！帰って読む！」
「ゆっくりでええで〜。」
「わかった。」
友達以上の感情は出さない。
家でじっくりと味わうべし。
しんちゃんから背を向けて、カバンにしまう。
やっぱりしまう前にちょっとだけ。
本を開いて鼻を寄せる。
フワッとかおるしんちゃん家の匂い。
この瞬間が最高………………。
「あ、たつ！」
急なしんちゃんの声に体が強ばる。
恐る恐る振り返ると、しんちゃんの手にしおりがあった。
「これ、たつのじゃないんか？」
「あ、あぁ、そうやけど、その本にしおりなかったからあげるよ。本屋でタダで貰ったやつやし。」
「そ？じゃあもらっとこ。」
しおりがもう一度本の中に戻って行った。
………………びっくりした。
匂い嗅いでたのバレたんかと思った。
こういう時、しんちゃんが鈍くて良かったなって思う。
まぁ、俺が気づかれへんようにしてるだけやけど。
ひとつずつ。
あなたのなかに、埋もれていきたい。
危なくないよ。好きなだけ。*赤×青*→←抱きしめて*青×橙*
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作者名：やきいも | 作成日時：2020年9月7日 20時
