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NOside
稲津「いささか、やりすぎでは?
そもそも拷問という行為自体、
国際条約や、そもそも憲法で禁止しているはず。
いたからこの国は、
法の一つ守れないケダモノが法の番犬として
機能しているテイで跋扈していたのでありますかね?」
軍靴の音と共にひびく
大量の勲章どうしが擦れるじゃらじゃらとした音が
仄暗い詰問室に響いた。
稲津「1時間も足止めされましたが、
協定の時間よりも長く、『詰問』したので?」
濃密な殺気が部屋に充満している。
金属バットや、木材、自白剤など拷問に使われる道具を持っている男達がガタガタと震え、
ごく一部は失禁すらしている次第。
この中にいる軍人としての階級は高くてもせいぜい
中級軍曹だ。
稲津「桂川中級軍曹!
私を1時間足止めし、
協定時間外まで詰問を行うよう指示を出したのは
キサマか!」
声を張り、威圧し、
濡羽色の瞳を紅色に染め上げて稲津が問うた。
桂川と呼ばれた中級軍曹がはくはく、と
うまく呼吸できない様子で頭を小さく振った。
稲津「例え誰の命令であろうと、軍記にある以上
許された範囲を超えれば重罰がくだると心得ろ、
・・・・・・この件、軍法審議にかける旨通達する。
引き渡し書類であります。
穂高大佐の承認サインがはいっている。
拒否権はない、いいな?」
と、威圧しながら丁寧に花を抱き上げて、
持ってきていた大きなシーツで花を包んでさっさと
詰問室から出て行く。
稲津「花、今から封印措置を行います。
治療のために一度神髄と星杯などもろもろ止めますので
すこしゆっくりやす────」
「・・・・・・ぃ。 の」
稲津「はな?」
「ぅ、で・・・・・・、と・・・・・・し、が。」
稲津が少し考えて、
はっ、として少し早く歩く。
見えてきた駐車場にとまった、一台のバンは
運転席以外が取っ払われており
人1人を寝かせて運ぶ程度造作もなくなっていた。
静かにそこに寝かせた稲津は花の腕と足に触れて、
ようやくことの重大さに気づいた。
壊死している。
と、そこでさっきの言葉の意味を理解した。
「腕と足がない」花はそう伝えたかったのだろう。
干渉して後ほど記憶はのぞくとして、
ひどく嫌な予感がする、と
稲津がふっくらした艶のある唇を噛んだ。
触れただけでわかる、
様々なものが刺さっているのだろう、と
今抜いても問題ないところを見極めて、
花の柔肌を貫いていたものを
ゆっくり刺激しないように抜き始めた
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作者名:クラウン | 作成日時:2023年7月22日 4時