・ ページ14
NO side
「･･････ぃ、たィ」
自白剤の投与から数分後、
今度は筋弛緩剤を投与され拘束の類が外される。
点滴のパックのような状態で
絶え間なく投与され続ける自白剤と、
それに混ぜられた筋弛緩剤で一切の抵抗を封じられて
錬金術で薬剤の成分を全て分解することかなわず、
床に投げ出されている花が、ようやく言葉を発した。
満足に舌も回らないのか、
聞き取りにくく、ただの音に近いが
たしかに、痛いのだと訴えた。
釘や殴られた際に刺さったものはそのままに
女神の権能が傷を癒していく、
何度も殴られ、
抉られ、切られ異能で精神を掻き回されて
そうしてようやく、折れた骨が治らなくなった。
殴る為に使用された鉄パイプが先に曲がり、
使い物にならなくなった。
木材が幾本も折れ、ゴミとして打ち捨てられる。
ある男が使い古された万年筆を取り出して、
花の右手に万年筆を突き立てる。
「どのみち書いても出版社すら受け取らないのだから」と
まるで彼女の作家としての人生を否定するように、
力強く。
「紹介しよう。時間加速系の異能力者だ」
と、意識すら曖昧な花にある男は言う。
紹介された男が花に触れ、
異能を使い
花の体の時間を早送りにする。
突き刺さった万年筆を中心に、
花の腕が、
物が突き刺さったまま治った足が、胴が赤紫に、
そこからどす黒く変色する。
「やめ、･･････て、やめ･･････っ。
うでが、ぺんが、もでない･･････っ」
弾かれるように曖昧だった意識が覚醒して、
鳴き声のまま、懇願する。
医学に精通しており、尚且つ本業を作家と定める花に
最も焦燥感を与えるのは、
腕のアポトーシス、･･････すなわち壊死。
2度と書くことができなくなる、という焦燥。
「自白しろ！
お前達武装探偵社が『天人五衰』か！」
「ちがう！」
「仲間の場所は！」
「知らない！」
「ならなぜあの場に探偵社員がいた！」
「知らない！」
異能力者の男がかろうじて無事だった
花の左腕を踏んづけると、
にぶい、折れた音が鳴り響く。
ただその反面、
踏んづけた本人が痛そうに顔を歪める。
「鉄板仕込んでも無茶苦茶力いるじゃねぇか」
「殺すなよ。
いくら桜木が桜木殺しのあの一族と協定を結んで
一般人への殺傷のリスクが減ったとはいえ。
あの家は報復に一家言あるぞ」
「あと『統合騎士団』と確執か？
んなもん気にしてたら自白させれねーって」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 9人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：クラウン | 作成日時：2023年7月22日 4時
