刹那的で永続的 ページ13
花side
小林多喜二先生が顔を青くした理由を理解した、
志賀直哉先生が悲しそうな顔をしたのを理解した。
自分たちは正しいのだという
私達が向けられ慣れているはずの嫌悪と憎悪の目。
畳用の釘を足と胴体に打ち込まれて痛みに嗚咽を漏らす。
骨が神経がダイレクトに衝撃を受けて
『地母神』の権能が勝手に体を治していく。
鉄パイプでの殴打で骨が砕ける
ナイフで内臓を抉られて、
手や足を切り飛ばされて、
異能の感情で神経系が乱れ、脂汗が溢れ出る。
それすらも『地母神』の権能は治す。
もがくときに手脚に繋がれた鎖の音が響くばかりで
拷問相手が不快そうな顔をする。
･･････効いていないと錯覚させろ。
極力悲鳴を抑え込め。
表情に出すな。
「いい加減吐け。
仲間はどこにいる？」
花「知らないもん言いようがないでしょう」
「自白しろ！」
花「濡れ衣だ」
角材が折れる。
殴られた頭から血が出るがこれもやがて止まるのだろう。
「自白剤をもってこい」
『自白剤』、か。
その手の薬品は桜木の血族に
原液注射でないとほぼ効果を発揮しない。
彼らは、どうするつもりだろうか。
複数人いる軍警の男達は
こちらに侮蔑の目を向けながら
どこかこちらを恐れているようで、
自白剤を注射器で吸い上げる手は震えていた。
･･････自白剤は大脳上皮を麻痺させる以上の働きは無い。
ただ採用されている自白剤の多くは
麻薬の類と遜色ない。
どれだけ体内でその成分を分解できるかにかかっている。
慣れていないわけじゃない。
子供の頃から多少耐性はついている。
注射針が皮膚を破り、
シリンジの液体が血管に投入される。
効果が出るまで少し時間がかかるだろう。
「アンタなら知ってるはずだ、
ここから何をされるか」
花「そもそも効かない可能性は考慮なさらないので？」
「アンタは錬金術師だ、しかもこの国最高の
一人で人体錬成も可能な。
自白剤の成分だって分解しちまうんだろう？」
花「それなのに投与したんです？」
がつん、と殴られるような感覚とともに
視界が回る。
自白剤とは名ばかりの、ホンモノの麻薬らしい。
錬金術を行使して異物を分解する。
心臓が増えたのかと錯覚するほど速く鳴る。
「始まってからまだ2時間も経ってないんだぞ？」
体がふわふわする
気持ちがいいというか、
それすら通り越して気持ちが悪い。
花「抵抗してない時点で、察しろ･･････ッ」
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作者名：クラウン | 作成日時：2023年7月22日 4時
