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優鶴side
「ねえ、あのこ・・・・・・」
「え、うそホンモノ!?」
テレビ局に到着して
エントランスに入ってすぐだった。
集まった視線を無視しながら、
控室の鍵を受け取る。
「本当にアイドルになったんだ」
「周りの期待も裏切ってね」
「どうせロクでもないやつなんだろ。」
「最近の夢ノ咲はどうもなぁ」
「もうアイドルも終わりなのによくはいったなぁ」
「いやいや、あいつが入るから『終わる』んだよ」
────散々言ってくれるもんだ。
ほんと、くだらない。
乙統女さんがどれだけ俺たちの権利をもぎ取るかだ。
今のところ、俺たちを下を見て、
『自分達』は恵まれていると
優越感に浸っているのだろう。
優鶴(・・・・・・俺らがひと睨みしたら、
大袈裟に騒ぎ立てるのに俺らには何しても良いってか)
人が人なら、『世も世』である。
「優鶴!」
優鶴「・・・・・・ヒロ、んぐっ!?」
死角から飛びついてきて
そのまま体勢を崩して倒れ込んでしまった。
優鶴「ヒロ!距離感!」
ヒロ「今から共演する中だろ!
わざわざ待ってたんだからな〜このこのっ!」
ガッツリ体をホールドされ
こめかみをぐりぐりされていた。
抵抗する気力もない、
ただ一つ物申したいのは
この人数いる場所でやんじゃねぇということである。
優鶴「ヒロ、俺高校一年生。
お前大学生。 体格差考えろ」
ヒロ「あれ、優鶴細くなった?
身長はそんなに変わってないし・・・・・・」
優鶴「話聞けよ!」
ヒロ「まぁまぁ、落ち着いて。
控室隣だし荷物置いて着替えてから話そうよ」
腕を引かれて異様な視線を抜けて、
エレベーターに乗ると、
制服のブレザーを剥ぎ取られる。
ヒロ「優鶴、最近どう?
夢ノ咲で上手くやれてる? いじめられてない?」
優鶴「・・・・・・“どこもいっしょ”」
ヒロ「優鶴・・・・・・、辛くなったら本当に連絡して。
こっちに編入できるように
根回しならいくらでも────」
優鶴「・・・・・・ヒロ。」
ヒロ「なに?」
優鶴「・・・・・・『どこもいっしょ』だって、言った」
それはどんな場所の学校に行っても変わらない。
べる達と同じ学校に行けばいいじゃない
なんて言われると、
逆にあいつら以外に
話す相手はいない上(別にそれで良いけど)
最悪あいつらも巻き込んで
いじめられるのが関の山なのだから。
優鶴「俺は、
・・・・・・『お前ら』と、『あいつら』以外に、
期待、しない」
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作者名:クラウン | 作成日時:2022年3月17日 8時