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水菜 side
水菜「今のところ怪我はない、けど。」
一期「初代桜木以外の体力は･･････」
水菜「だよね。
･･････明らかに劣勢。
相手の六木達を折らずに捕らえる。
これが意外と難しい。」
当たり前だ、相手はこちらを殺すつもりで来る。
詩音が片っ端から倒し、切り、殺し、消す。
それでも、
味方がいる以上、
巻き込まないために『自制』しているせいで
永遠に数だけ現れる。
魔法を
片っ端から打ち砕くのに集中しなければならない
僕と鈴仙、白雪。
恍惚とした表情をうかべ、
死体を生み出し続ける他の桜木の兄弟。
ちょっとどころか、だいぶやばい。
他の刀剣が疲労から隙だらけになっている。
燭台切「長義くん！！」
全身の血の気がひく。
長義の目の前に、獣人種が迫っていた。
その剛腕から放たれる殴打は、
修行に行った太刀や大太刀でも脅威だ。
咄嗟に腕を前に防ごうとした長義に、
殴打が─────来なかった。
大気中の魔力と霊力が一瞬で枯渇して
空間そのものが捩じ切れ、
長義に迫っていた獣人種が、
霊力の塊に閉じ込められていた。
「私のかわいい愛弟子に、
何をするつもりなのでしょうか。
────いぬっころ。」
尋常ではまずあり得ない桜の花吹雪が視界を覆う。
今まで枯渇していた魔力が、霊力が
大気中に潤う。
求めていた『声の主』であると理解するのに、
一瞬、脳が拒絶した。
紅葉の手元でいくつもの魔力が刀の形を成し、
紅葉の後ろに控えるように揺蕩っている。
────目に見えて、敵が絶望している。
紅葉切国護月彦という存在は、つまるところ
それだけで『脅威』らしい。
紅葉切「水菜、『神像完全展開許可』を。」
水菜「うん。
思い切りやっちゃえ！」
『エネルギー源』が揺れ動く胎動音が辺りに鳴り響く、
空間胎動音、そんな生優しいものではない。
『世界が揺れ動く』音がする。
紅葉切「桜木派、および桜守一同
後退。
詩音、付き合ってくれる？」
詩音「もちろん、僕ら二人に敵なんていないもんね」
長義「･･････先生。
この時代の死乃音切殿だよ。」
紅葉切「ええ、ありがとう。･･････さて」
神、というのは
きっと紅葉切のような存在を指すのだろう。
と、神の座を有しているのに関わらず、
どこか己より上であると、
錯覚しそうな威圧感を放ちながら。
毛先の黒くなった紅葉の姿がそこにはあった。
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作者名：クラウン | 作成日時：2022年3月8日 6時
