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ページ17

白雪side


紅葉切は、俺たちの大切な妹だ。

紅葉切と死乃音切が打たれている時、
俺と兄者は、

それを見ていた。


護らなければと、己が身に言い聞かせ
美しい刃に紋を入れゆく父上の背を眺めていた。

死神を切り伏せた詩音と、
遠くから紅葉の木を切り倒した紅葉。


与えられた力は、俺たちの半分にも満たないが

それでも、
初陣でトドメを刺した紅葉のあの目を見て、

『恐怖』を覚えた。


相手は中堅の神。
母上、父上

兄者、俺そして紅葉切と死乃音切の6人で挑み、

あるていど予力を削ぎはしたが、
トドメを刺そうとみんなで足を踏み出した時、

誰よりも早く接近してトドメを刺したのが

紅葉切だった。


兄者を持ってしても御せないと、
そう思わせた、その妹は。


数年後、兄者をも打ち負かした。



いま、紅葉切はどんな神か問われれば。
こう、答えよう。


『運命に見放された、哀れな神だ』と。


刀が、己の意思を通すことは、難しい。

俺たち、『物』はそういう意味では
運命に見放された存在だろう。


だが、あいつはその中でも特別。
その手のものに見放されている。



六木「白雪・・・・・・、俺ん、せいだった・・・・・・」

白雪「なに?」


兄者の顔が真っ青になっていた、

冷汗が流れ落ち、俺の外套が兄者の汗を吸った。


六木「俺は、・・・・・・俺が!

アイツの手綱を握ってやるべきだったンだ・・・・・・!

俺は、取り返しのつかないことを言った。
親父の最後の命令が、

俺は・・・・・・!」


白雪「兄者、・・・・・・兄上よ。

落ち着いてほしい。

何を知ったのだ?
俺は、兄者を補佐するために生まれた。


だが、兄者より与えられた力は少ない、

そして、こんな性格だ。
察しが悪い。


話してほしい、

父上から何を聞いた?」


六木「親父は、紅葉に・・・・・・。

死後、お袋と実子の桜、
そして俺に指揮権が委託、・・・・・・されていた・・・・・・。

そして、意思と、命令を尊重するように・・・・・・と」


白雪「なに・・・・・・?

では、・・・・・・そうか、最悪だな・・・・・・

はは・・・・・・」


乾いた笑いしか出てこなくなった。


俺たちが死にたがった、から。
俺たちは紅葉切に折られた、と。


六木「・・・・・・なにが、兄貴だ。

まったく、
アイツのことわかってねぇじゃねぇか・・・・・・!」


白雪「・・・・・・兄者、ありがとう。

俺に、伝えてくれて」

・→←その神は如何なるや



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作者名:クラウン | 作成日時:2022年3月8日 6時

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