Rising ページ37
優鶴side
プリズムストーンの運営理事が、一新された。
そんなニュースが今日も元気に、
テレビから垂れ流される。
管理システムのモノリスを破壊して、
数日。
あの日、あの後。
俺は水菜の付き添いの元、
学院に戻った。
学院で真っ先に出迎えてくれたのは、渉で。
どうしても騒がしくなっているところを、
敬人が、仲裁という形で
飛んできた。
そんな中で、水菜が
「じゃあ今日みたいな無茶はよしなよ？」と
爆弾を投下して、
逃走した。
そう、逃走しやがったのだ。
渉によって服を剥ぎ取られた俺は、
カッターシャツについた血と、
水菜に跡は塗り薬で消していこう、
そう言われて、残っていた裂傷跡を見られて
しこたま怒られたのだ。
「S1数日前に何をしているのだ！」
と。
そこからはあっと言う間に、
職員室前の木に連行され
渉に吊し上げられた。
「どんな状態でもあなたは美しいですね！」
と、その状況と不釣り合いすぎる言葉と共に。
優鶴「あまり見てやれなくて、すまなかったな」
零「優鶴くんは忙しい身の上じゃ、しかたなかろ。
それに、我輩が一任されとったしのう？」
今日は、S1当日だ。
舞台袖で零達と待機をして、
なずなのオッケーが出るまで歓談していた。
優鶴「その分、
書類とかは敬人にバレないように
山積されてる書類の一番下に忍び込ませたが。
お前ら、準備は？」
響音「万端だ。いつでも行けるよ。」
聖夜「にゃははっ！
満員御礼！生徒会と教員の姿なしっ！
前倒しで始めちゃお〜！」
ーーー俺たちは、前座だ。
“sacred”、神聖の名を冠する
この学院の栄華だ。
聖夜「にいちゃん、
喧嘩腰で行こうよ。
ーーー皆のもの、sacredに続け〜！」
聖夜がぴょんぴょん舞台袖で跳ねる。
それだけテンションが上がっている証拠だ。
今日のステージは、
いいものになる。
優鶴「さぁ、“前回”は捻れ、歪んでしまった物語の
“本来”の姿だ。」
聖夜と響音にだけ聞こえるように、
そう言った。
ステージに出ると、
左馬刻を見つけた、
ーーーーやっぱり、お前はきてくれるよな。
左馬刻。
優鶴「紳士淑女の皆々様！
ようこそ、夢ノ咲学院、
ドリフェス、S1へ！」
聖夜「みんないっぱいいっぱい応援してね〜☆」
響音「今日出るみんなの事も、覚えて帰ってくれ」
決戦の火蓋が切り落とされる、
あぁ、この瞬間だけは。
俺が、俺でいられる瞬間なのだと、
心の底からそう感じる。
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作者名：クラウン | 作成日時：2021年2月17日 4時
