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優鶴side
紅葉切「ほーら、
大丈夫・・・。大丈夫・・・。」
英智達と勝敗決定の内容を確認して、
英智達が出て行った後。
急に訳もわからず、涙が溢れ出した。
そのタイミングで、
まるでわかっていたかのように
水菜が、紅葉切を伴って
入ってきた。
紅葉切が俺の背中に手を回して、
優しく抱きついてから
水菜に出るように諭して、
髪を撫でて、少し、時間が立った。
紅葉切に抱きつかれてから、
急に胸が苦しくなって、
声が漏れるのを我慢しながら泣いていた。
紅葉切「“我慢”してたんですね。
生まれてから、ずうっと。
苦しいのは、仕方ありませんよ・・・
18年は、“長い”ですから。
落ち着くまで、
こうしていますから、迷惑だったら
ごめんなさい。
話せるようになったら、“お話”しましょう？」
紅葉切が千早を脱いで、
俺を隠すように、頭から被らせた。
ーー桜の木に登った時と、同じにおいがした。
そこしれぬ安心感を感じる。
ーーー餓鬼の時、嗅いだ匂いだ。
優鶴「もみじ、きり。」
紅葉切「なんですか？」
優鶴「消えたいんだ」
紅葉切「ええ、私もです」
優鶴「でも、アイツらと
もっと、一緒に居たくて・・・。
でも、
アイツらが、先に死ぬのは
“当然”で・・・・」
紅葉切「ええ」
優鶴「アイツらと、一緒に老けて、
ボケて、死にたい。
どう、したら。
俺は、“守護者”は、“魔法使い”は、“鬼”は
“人間”と一緒に死ねる？
妹達に、先に“逝かれず”に済む？」
紅葉切「知っていても、伝えませんよ。
それは、じっくり
お前が考えるべきです、優鶴くん。
貴方は、
その手段になり得るもの達に同情されて
“契約”しています。
だから、一人で苦しむ必要は無いです。
貴女の本心は、貴方が一番よくわかっています。
やるべき事も、貴方がわかってる。
ーーー私は、あなたの“疵《きず》”を
貴方自身から、隠すだけです」
紅葉切の手に、力が入る。
まるで割れ物に触れるように、丁寧に優しく
俺を抱きしめてくれている。
紅葉切「貴方は、私に良く似ていますね。
ーーー死にたがりで、
“人間”が、“身の回り”が愛おしくて
仕方ない。
“独り”が嫌で、ただひたすら
自分の中に入り込まれないようにして、
入ってきた子には、とことん“甘い”。
お前は、独りじゃ無いですよ、
優鶴。
支えてくれる、想ってくれている子が
たくさんいます。
それを、受け止めて」
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作者名：クラウン | 作成日時：2020年11月4日 23時
