恋しあい＿orange ページ5
．
「Aさん、これ教えてくれませんか？」
「ん、どこ？」
康二くんはよく出来る新人だった。
私が教育係にあてられて。
当初はめんどくさいと思ってたけれど、そんなこと忘れてしまうかのように彼は物覚えが早かった。
「Aさん、Aさん、！」
地方訛りの砕けた話し方。
わんこのようにコロコロ変わる表情。
スタイルが良くて顔もかっこいい。
そうなれば必然と、入社後すぐにモテモテの地位を確立するわけで。
他の女の子からも引っ張りだこ。
女子の社会は複雑で怖い。
だから、距離を置いていたのに。
「これ終わったらご飯、行きましょ！！！」
何故か、彼は私にだけ積極的に絡みにくる。
「康二くん、今日空いてる？ご飯一緒に行かない？」
そんな受付のきゅるきゅるしている可愛い女の子からの誘いも、
「ごめんなぁ、今日Aさんと打ち合わせついでにご飯行く予定で、、今回はほんまごめん。また誘ってや！！」
なんて言って断ってしまう。
社内ではコミュニケーションの鬼なのに、プライベートとはしっかりと線引きしているらしい、
「康二くん、そんな予定聞いてないけど。」
私を除いて。
「いいやん、Aさん！Aさんの好きなラーメン、美味しいとこ見つけたで運転させてもらいますって！！」
「…ついでに奢ってくださいって？」
笑って小突けば、一瞬の間があいて。
「図星だ笑」
「いや！それもまぁ、ないことはないんですけど！！それより俺があの子と行くよりAさんとご飯行きたかったんで、」
何となく好意は感じていた。
「Aさんとおると、なんやろ。ほんま癒されるわぁ」
2人で仕事終わりに飲みながら言われたその言葉に、悪い気はしなかった。
「あの、、次の休み一緒にドライブ行きません？」
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作者名：午前12:00 | 作成日時：2022年8月26日 21時
