Episode.40 ページ40
【マレウスside】
<ディアソムニア寮 談話室>
マ「…今何時だと思っている、クロウリー」
学「急に呼び出したりしてすみませんね」
学「おや?真夜中に制服なんか着て…
これからどこかお出かけに行くんですか?」
マ「廃墟巡りだ」
学「…いいですね!私もご一緒しても???」
…たまにはいいか。
・
・
・
僕はクロウリーと一緒に
静まり返った深夜の学園を散歩した。
マ「僕のお気に入りの廃墟はここだ」
学「昔寮として使われていた建物ですか…」
マ「一人で考え事をするにはもってこいの場所だ」
僕はソファーの上のホコリを風魔法で吹き飛ばした。
学「こほっこほっ…随分大胆ですね…こほっ」
マ「風下にいるお前が悪い」
マ「で、話ってなんだ?」
学「"例の薬"、どうやら使ってもらえたようです」
マ「そうか…」
学「私の甥という設定で入学手続きを済ませました」
マ「ご苦労」
マ「…そうだ、クロウリー。入学式はいつだ?」
学「…はい?」
マ「もうそろそろのはずだが?」
学「(あの人達、またドラコニアくんに…)」
マ「まぁ、入学式があったとしても
どうせ僕は招待されないさ。
僕がいると式典どころじゃなくなるだろ?」
学「…苦笑」
マ「僕はそろそろ寮に戻る、お前は?」
学「もうしばらく散歩したいと思います」
学「では、私はこれにて」
クロウリーはそう言うと、どこかへ消えていった。
・
・
・
<ディアソムニア寮 マレウスの部屋>
マ「……………。リリアのやつ、
また窓を開けたままゲームをしているのか?」
部屋の窓を開けて隣を見ると、
リリアの部屋の窓が少し開いていた。
前に一度窓を閉めに行ったことがあるが、
夜風にあたらないと集中できん!と
訳の分からない怒られ方をしたからな…。
自室の窓を閉めようとした時、突然強い風が吹いた。
すると、ベッドの上に置いてあった本のページが
パラパラとめくれていった。
そして、とある挿絵のページでとまった。
それは、氷の壁に閉じ込められている少女に
王子が口づけをしている絵だった。
マ「…"雪の女王伝説"の一場面か」
この物語がAの辿る運命を表しているとしたら、
誰が彼女を氷の壁から助け出すのだろうか。
助け出した相手はおそらく彼女と結ばれるのだろう。
…。
………。
僕はAの相手役に相応しい人物ではない。
何故なら…
僕は"茨の谷の王子"という肩書きをもった、
破壊者(ドラゴン)なのだから。
・
・
・
……THE END
281人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ひとみ | 作成日時:2020年6月18日 9時