【歌い手】そんなの俺は認めない【そらる】

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『…芹沢さん』

「あ、宮原さん！おはようございます」

『おはよう…んで、この慌ただしさはなに？』


バタバタと忙しなく会場を走り回る仲間を横目に、先に来ていた後輩に声をかければ「実は歌手の方が視察にくるそうで…急いで片付けをしてます」と苦笑いをされた。

なるほど。
確かに色んなものが散らかったままでは、彼等には歩きにくい。私達はもう慣れているけど誰かが緊張して躓いてしまうかもしれない


「でも急に来るのは珍しいですよね。いつもはアポあるのに」

『…あちらにもあちらの事情があるんだよ』


とか言いつつ、心の中では、事前に言えよなんて考えてたりもする。…特に2人組の片方、私の知り合いの奴

過ぎてしまったことだからしょうがないか、とため息をついて、後輩の持つ荷物をいくつか持ってあげた。
お礼を言いながら笑う後輩は大変可愛らしい


『これ倉庫の持ってけばいい？』

「はい！自分のは袖に持ってくやつなんで、置いたら手伝いますよ？」

『ん、平気。荷物も重くないし、倉庫までそんなに遠くないから』


『だから大丈夫』と気遣いが出来る後輩の肩をぽんぽんと叩いて、そのまま倉庫へ向かう。


……後輩に無理をさせるわけにはいかないと思ってああ言ったけど、倉庫までの道は控え室の前を通るのだ。
すごく嫌な予感がする。

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