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背中を向けあってはいるが、息遣いや背中に偶に触れる髪の毛、被褥の擦れる音がお互いの存在を示しているようで、なんだかムズムズした。
私が目を覚ますと、もう彼は支度をしていた。ひとり用の寝台で男女が眠るのにはすこし窮屈だったのか壬氏はよく欠伸を漏らしていて、少し申し訳なかった。私はそれなりに眠れたので良しとする。
『ありがと、貸してもらって』
眠そうな壬氏は答える。
「……ああ、お前はちゃんと眠れたのか?」
『おかげさまで』
「…そうか、なら別にいい」
『ふふ、商談頑張っていい条件勝ち取ってきますよ』
「頑張ってこい、じゃあな」
壬氏の部屋を後にする。今日の商談はこの宮において重要なものだ。壬氏が少しデレてくれたので、更に気合いを入れなければ。頑張れ、そう言った壬氏の顔を思い出す。あれ、そういえばなんで顔が赤かったんだ?
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「……はぁ…」
女官が部屋を出たあと、宦官は溜息をついた。
今晩のこと、彼女は知っているのだろうか。本人は気付いていなかったようだが少し顔色が悪かったから頭を撫でたこと。寝返りを打って顔がこちらの方に向いたので普段はあまり凝視することのない顔をしばらく見つめたこと。
『ん……』
寝言を零し隙間の空いた、あどけない彼女のくちびるが、どうにも愛おしくて。
「……A、」
体を少し起こし、ゆっくりとくちびるを重ねたこと。
「〜!!なにやってんだ俺は……ただの同僚だろ、」
決して痛くないとは言えない音を立て寝台に寝そべる様にして倒れ込んだ壬氏は、そのまま言葉にできない声を漏らした。
(でも、柔かった、)
ෆෆෆ
『おはようございます、玉葉さま。お加減は如何でしょうか』
「おはよう、A。おかげさまで元気よ!……まあ、すこし寝不足気味ではあるけれど」
『あはは……』
帝か。
「……それよりA、何か聞きたいことがあるんじゃないかしら?そういう顔してる」
どうやらお見通しのようだ。
『まあ、大したことじゃないのですが……媚i薬は何のために使うのでしょうか』
「あら、壬氏さまから聞いていなかったの?……ちょっと耳を借して?」
はい、と答え玉葉さまの傍に寄る。
「ねえ、玉葉さまとAさまが内緒話をされていらっしゃるわ!!」
「ホントに綺麗な方たちねえ、」
「様になるわぁ〜!」
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arashi1999(プロフ) - はじめまして!こちらのお話し大好きです!更新停止になってますが更新されるのを楽しみに待ってます! (3月20日 18時) (レス) @page18 id: 842b15c736 (このIDを非表示/違反報告)
めあ(プロフ) - ゆさん» コメントありがとうございます💘最近自分の書きたいものが何か分からなくなってきて全く書けてないんですがそういって貰えるとほんとに有難いです😭これから頑張ります!!! (1月28日 23時) (レス) id: aea8f156ce (このIDを非表示/違反報告)
ゆ(プロフ) - コメント失礼します!!他の方とコメント被りしますが、本当に求めてましたこういうお話!!違う立場から壬氏さまに愛される感じめちゃくちゃ好きです(大声)是非とも更新楽しみにしています!!!! (1月28日 21時) (レス) id: 6d3f108665 (このIDを非表示/違反報告)
めあ(プロフ) - mちゃさん» コメントありがとうございます💘夢主がこういう立ち位置なの結構珍しいですよね!私も自信もって書いているので嬉しいです🥰 (1月13日 9時) (レス) id: aea8f156ce (このIDを非表示/違反報告)
mちゃ(プロフ) - こういうの求めてました!! (1月13日 1時) (レス) @page11 id: e046c287bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:めあ | 作成日時:2023年12月31日 15時