ෆ ページ14
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次の日から、仕事が極端に増えた。妃の見回りはほぼ出来なくなり、部屋から出る回数も週に3回と無かった。絶対に殴るから、と言ったのにできなかったのは少し心残りではある。
目元には隈ができ、若干痩せた。それでも仕事から逃げ出す訳にもいかないので、たまに様子を見に来てくれる女官の話を聞きながら書類を片付ける。
「最近、幽霊が出るって噂になってるのよ。Aは知ってる?」
『…幽霊?初めて聞いた』
「最初は北側の方で見つかったんだけど、最近は東側の方に移動してるらしいの」
『それ、衛兵達は何してんのよ』
「今のとこ、何か危害を加えたりはしてないから放置みたい」
『……時間あったら対処してって衛兵に言っておきますよ』
この顔で衛兵に話に行ったら引かれる自信しかないが、脅迫のようなものなので気にしない。それに、時間があればの話だ。机に積み上がる書類は減るどころか高くなっている。くだらない法案にも目は通さないといけないのが腹立たしい。火をつけたい。いっそ書類と心中しようか。
「それにしてもA、何日ここから出てないのよ……頭から茸が生えそうよ」
『……換気しておいて』
「そういう話じゃない、って言っても無理よねぇ…」
はいはい、と玉華は窓を開けにいく。風が吹き込み、書類が飛んでいく。キャーと叫びながら書類を拾い集める彼女を尻目に窓から見える月を見た。
『いまって、夜な訳?』
「そうよ、あんたも拾いなさいよ」
『……久しぶりに寝に行こうかな』
「拾ったらね」
ෆෆෆ
その夜、東屋を通った。そういえば、と思いゆっくりと顔を上げて城壁を見ると、女が舞っていた。白い衣に身を包み、真っ黒の髪が淡い月光に照らされる。
綺麗だった。この世のものとは思えないほど。
『…きれい』
何日起きているか分からないほどの頭でもそう感じたのだ。しっかりしている状態で見ればどれほど美しいのだろう。見たかった。
女の顔に見覚えがある気がして、目を凝らす。
『…芙蓉妃』
その女は、芙蓉といった。来月に功労として下賜されることになった妃である。
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主ちゃんのお友達の女官さんは玉華さんっていいます。覚えなくてもいいですがたまに出てくると思うのでこいつ誰!!ってなりたくない方は認識してもらえると🙆🏻♀️
前の話のあんたが友達じゃなかったらぶっ飛ばすぞさんはこの子です。
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arashi1999(プロフ) - はじめまして!こちらのお話し大好きです!更新停止になってますが更新されるのを楽しみに待ってます! (3月20日 18時) (レス) @page18 id: 842b15c736 (このIDを非表示/違反報告)
めあ(プロフ) - ゆさん» コメントありがとうございます💘最近自分の書きたいものが何か分からなくなってきて全く書けてないんですがそういって貰えるとほんとに有難いです😭これから頑張ります!!! (1月28日 23時) (レス) id: aea8f156ce (このIDを非表示/違反報告)
ゆ(プロフ) - コメント失礼します!!他の方とコメント被りしますが、本当に求めてましたこういうお話!!違う立場から壬氏さまに愛される感じめちゃくちゃ好きです(大声)是非とも更新楽しみにしています!!!! (1月28日 21時) (レス) id: 6d3f108665 (このIDを非表示/違反報告)
めあ(プロフ) - mちゃさん» コメントありがとうございます💘夢主がこういう立ち位置なの結構珍しいですよね!私も自信もって書いているので嬉しいです🥰 (1月13日 9時) (レス) id: aea8f156ce (このIDを非表示/違反報告)
mちゃ(プロフ) - こういうの求めてました!! (1月13日 1時) (レス) @page11 id: e046c287bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:めあ | 作成日時:2023年12月31日 15時