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月の光の下、その青白い顔は今にも倒れてしまいそうだった。
先程戦った鬼の血鬼術なのだろう。過去、それも平安時代へとタイムスリップしてしまった俺。
転生の次はタイムスリップか…普通の人では中々出来ない経験をしてるなぁ。嬉しくないけど。
今、正座をしている俺の目の前にいる男こそ年齢は違えど、全ての元凶であり鬼の始祖でもある鬼舞辻無惨その人だ。
月明かりの中はっきりとは見えないが間違い無いだろうその姿に、これからどうしたものかと頭を抱えた。
「ほぅ、ではお前は未来から来た…と?」
「はい…その通りです」
もちろん鬼については話していないが、未来から不慮の事故で飛ばされてしまった事を正直に話した。
だって嘘ついたら検非違使(警察)に突き出すって脅されたんだもん!
信じて貰えないと分かっていても咄嗟に上手い話は作れなかったよ。
「そうか…奇妙な事が起きるものだな」
え、信じてもらえるの?
俺の驚いた表情を読み取ったのか、彼は嘲笑混じりで話し始めた。
「誰も居なかった私の部屋に突然現れ、珍妙な着物を来た子供。妖でも天の使いでもないのだとしたらお前の話もあながち嘘ではないのだろう?そんな突拍子もない嘘をつく利点もないしな……で?」
「ん?何ですか?」
「未来から来た、という事は行く宛はあるのか?いや、あるわけ無いよな?」
やけに楽しそうだな。
確かにこの時代に知り合いなんている訳もない。
ないです…。と小さく言うと何が楽しいのか、やけに弾んだ声でこの部屋に住め、と言われた。急展開過ぎる。
「この部屋には使用人か医者しか近寄らない。使用人は食事と湯を運んで来るだけだから会う事はほとんど無いと思うが、私から説明しといてやる」
「それは有難い話ですが、何故そこまでしてくれるのですか?」
いくら信じてくれたとはいえ、俺は何の役にも立たない唯の不審者だ。不審者を匿うことは彼には何の利点もない。
そんな事を考えている俺に、相変わらず楽しそうにくつくつと笑う鬼舞辻無惨。
「なに、唯の気まぐれだ」
そう言って彼は、また楽しそうに笑った。
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河岸エマ(プロフ) - 爽雫さん» うわあぁ私も大好きです!設定を上手く活かせてない気もしますが頑張ります!!モチベめっちゃ上がりました!ありがとうございます!! (2020年2月24日 14時) (レス) id: b2cd8ae7ef (このIDを非表示/違反報告)
爽雫 - 童磨の息子なんて神設定じゃないですか!?凄い続き楽しみです。更新頑張って下さい!応援しています!!だいすきです(*>∀<*) (2020年2月24日 14時) (レス) id: c8b0ff9423 (このIDを非表示/違反報告)
河岸エマ(プロフ) - お虫さん» ありがとうございます!近々更新すると思うのでまたよろしくお願いします! (2020年2月23日 23時) (レス) id: b2cd8ae7ef (このIDを非表示/違反報告)
お虫 - 好きです!次の更新楽しみに待ってます! (2020年2月23日 7時) (レス) id: 2f9884d86e (このIDを非表示/違反報告)
河岸エマ(プロフ) - アンちゃんさん» マジですか?!それは嬉しいです!pixivでもこちらでもよろしくお願いします!! (2020年2月15日 21時) (レス) id: b2cd8ae7ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:河岸エマ | 作成日時:2020年2月15日 16時