【歌い手】獣人世界【男主】 (ページ3)

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その日は、偶然だった

偶然、路地裏から声がして

偶然、血の匂いもして

偶然、足が勝手に動いただけ

そう、ほんとに偶然だったんだ

「そ、そらるさんっ、はやく、はやくいかないと...！！」

「まふ、さきにいけっ...」

「うらさん、そらるさんがくるしそうだよ！？なにかできないの！？」

「できたらとっくにしてるよ...！！」

俺の目にしたものは、血塗れの藍色の髪をしたガキと、それに肩を貸してる白と茶色の髪のガキ、それと心配そうに見てる赤い髪のガキだ

『おい、お前ら。』

俺が声をかけた途端、肩をビクつかせるガキ共

そいつらの目が絶望に変わっていった

『なぁ、それ誰にやられた？』

ガキは答えない

すると、ガキ共の後ろから、山羊の獣人が出てきた

「このガキ、こんな所まで逃げてきやがって...！！主様がお呼びだ、殺してでも連れていくぞ！！」

そう言って手を伸ばすもんだから、俺は咄嗟にガキ共の前に出た

「なんだ貴様は！！」

『テメェこそ山羊の分際で何様だ？コイツらはもう俺が拾ったんだ。手を出すことは許さない。』

「貴様、何を言ってるのか分かっているのか？そいつ等はウチの主様の物だ！勝手な真似をすると罪に問われ、」

そいつは最後まで話さなかった、いや、話せなかった

俺が殴ったから

『ベラベラとうっせぇな。俺が拾ったっつったろ。...おい。』

俺はガキ共に向き直る

ガキ共はまだ怯えたままだ

『お前ら、死にたくねぇならついてこい。』

そう、これも偶然