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「……わからない」
「………。」
「多分、七瀬陸と話す天を見て不安になったんだと思う。…だけど、なんでかはわからない。今まで2人が話しててもそんな風には思わなかったし、実際にさっき天たちがゼロアリーナで話して打ち解けてた時、心から嬉しかった。2人の関係がずっとぎこちなかったから」
Aの言葉に目を見開いた。
「さっきゼロアリーナにいたの?」
「うん。実緒と一緒に。…それで、七瀬陸と天が話してるの見つけたの。その時、なんでかわからないけど気づいたら泣いてて…」
Aの言葉を一通り聞いて、天は想像してみる。
もしボクが彼女の立場で、Aが仲違いしていた彼女の兄弟と打ち解けていたらどう思うだろうか……。
そうだったらきっと。
天はゆっくりと口を開いた。
「…ボクに置いて行かれそうで怖かったの?」
Aは目を見開いた。
「………そうかも。天が家族のもとに戻って、私はまた1人になっちゃうんじゃないかっていう気持ちは、多分あった」
その言葉を聞いた天は、Aを強く抱きしめた。
「さっき、陸と話したんだ。"ボクらはもう家族じゃなくてライバルだ"って」
「……。」
黙り込むAに天は優しい声で話した。それは意識してのことなのか、自然となったことなのかAにはわからなかった。
「ボクはAを置いて行かない。……"A、大丈夫だよ"」
既視感のあるセリフにAが反応した。
「…それ」
「思い出した?ボクらが初めて会った時に、君に言われたセリフ」
「…うん、覚えてるよ」
全部、覚えてる。
Aのその言葉に天はクスクスと笑った。
「あの時とは逆になっちゃったね」
「…そうだね。あの日も満月だった」
Aの視線の先には満月が輝いていた。
「天がいるから、もう満月は嫌いじゃないよ」
「そう?」
満月が嫌いだった。
両親がいなくなった事実を鮮明に照らしてしまうから。明るいからそのぶん、光の闇が濃く深かったから。
だけど、満月はもう暗い過去を照らさない。だって、闇はもう知ったから。今度は明るい光だけを見るよ。
天はまたクスクスと笑った。
"君はやっぱり星みたいだ。だって、儚いのに強くて、ボクの心を離さない"
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高沢 - ドーナツさん» それと、流行りのウイルスや、風邪などにお気をつけて、どうかご健康に過ごしてください、、応援しております。 (2020年5月1日 22時) (レス) id: a364a1dba9 (このIDを非表示/違反報告)
高沢 - ドーナツさん» はい...!全然大丈夫でございます!むしろリクエストに応えていただいてありがたい限りです、、!本当にありがとうございます! はい!ご無理なさらず、ドーナツ様のペースで更新頑張ってください! (2020年5月1日 22時) (レス) id: a364a1dba9 (このIDを非表示/違反報告)
ドーナツ(プロフ) - 高沢さん» 嬉しいお言葉ばかり本当にありがとうございます!これからも更新頑張るので、読んで頂けると幸いです。 (2020年5月1日 17時) (レス) id: f19df2fce1 (このIDを非表示/違反報告)
ドーナツ(プロフ) - 高沢さん» 初めまして!コメントとリクエストありがとうございます!!リクエストの件、喜んで書かせて頂きたいと思います!しかし、今考えているシナリオ上、一部が完結しないと書けそうにないので、それ以降でも大丈夫でしょうか……?勿論、絶対に書かせて頂きます……! (2020年5月1日 17時) (レス) id: f19df2fce1 (このIDを非表示/違反報告)
高沢 - はじめまして、いつも作品楽しみにしております。どきどきして凄く面白いです!突然ですがリクエストをしてもよろしいでしょうか、、もし宜しければ天と夢主の2人の目線からの【独占欲】が見てみたいです。これからも応援しています (2020年5月1日 15時) (レス) id: a364a1dba9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ドーナツ | 作成日時:2020年4月30日 15時