エスプレッシーヴォ 4【九条天】

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「……ゼロアリーナのこけら落としの2日目、IDOLISH7に決まったんだ」

「ええ。……Aたちも、出たかった？」

「…うん。大好きで憧れだったから」

でも、IDOLISH7なら認めてるからね。

Aはそう言って笑ったけれど、美咲の目には少し寂しそうに見えた。

「…そこでね、提案があるの」

「提案？」

実緒が美咲の言葉を繰り返す。

「ええ。こけらおとしの3日間、準備や片付けの空きの時間、Dólceに繋ぎをしてもらえないかって依頼されたのよ」

美咲の言葉にAと実緒は大きく目を見開いた。

「ゼロアリーナの総支配人さんがDólceを強く推していてね。IDOLISH7とどちらにするか最後まで迷ったらしいんだけど、客層の偏りも考えた結果、Dólceに繋ぎをお願いしたいって」

Aはその内容に納得した。確かにTRIGGER、IDOLISH7、Re:valeだとどうしても女性客が多くなる。だから私たちに依頼したのだろう。


「…私はやりたい。ゼロに、あの場所に少しでも近づきたい」

Aの返事に実緒も同意する。
そんな2人の様子に美咲は微笑んだ。


「よし、決定ね。Aは新番組のレギュラーに音楽番組。実緒はバラエティのゲストが増えてきたし忙しくなるわよ」


「忙しいのはいいことじゃん！Aは無意識に無理しやすいから心配だけど…」

「…実緒って結構過保護だよね」

「大切な仲間だからね！」

実緒の言葉に照れたのか、Aは視線を逸らした。
そんなAの姿に、実緒はかわいい、とケラケラと笑った。

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