エスプレッシーヴォ 4【九条天】

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音楽番組の収録日。
今日はA1人だが、Aは実緒に比べてバラエティ出演が少なく、その分音楽番組への出演が多い。珍しいことではなかったため、特に不安要素はなく準備していた。

テレビ局の廊下を歩いているとIDOLISH7に出会した。


「おはようございます」

「お、おはようございます！Aさん、本日はよろしくお願いします！」

「うん。よろしくお願い致します。……紡、髪型変えた？」

「少しだけ変えました！よく気付きましたね…！」

「仕事柄ね。どっちもかわいいけど、こっちの方が大人っぽくて私は好きかな」

「……私、もう髪型変えません…！」

「大袈裟すぎない？」

自身がファンであるアイドルに褒められたことがよほど嬉しかったのか、紡は感動したように呟いた。


「…か、髪型変わってたか……？」

「い、忙しくて気づかなかったな」

「やっぱり女の子同士だから気づけたんじゃないか…？」

紡の髪型の変化にIDOLISH7は気づいていなかったようで、小声でそんな会話を交わしていたが、耳の良いAにははっきりと聞こえていた。その内容について、特に言葉を挟むことはなかったが。

「あ、こけらおとし決まったんだってね。お互い頑張ろう」

「はい…！Dólceさんも繋ぎに入って下さるとお伺いしました！よろしくお願いします！」


Aと紡がそんな話をしていると、TRIGGERもやって来て挨拶を交わした。

そして楽が紡の髪型について触れたため、女子同士だからではないのかと三月は内心で思った。

「久しぶりだな。IDOLISH7ともAともブラホワ以来か」

「今日はIDOLISH7とAちゃんと仕事ができて嬉しいよ。IDOLISH7、冠番組始まるんだってね。放送楽しみにしてるよ」

龍之介の言葉に紡がお礼を述べた。




「おはようございます」

天の挨拶に陸が反応する。

「おはようございます！あのね、時間ある？なかったら、天にいの連絡先だけでも教えて欲しいんだ。電話したいんだ。……だめかな？」

「…いいよ」

「本当！？」

陸の言葉に天は少し黙ってから了承の返事をする。しかし、天が続けて発した言葉は厳しいものだった。

「だけどその前に答えて。この前のライブの実態をどう思ってる？」

Aはその天の言葉に、耳に入った噂を思い出した。恐らく、陸がアンコールに出られなかったことを指しているのだろう。

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