お見合いしたくない王子と同居したい王子【うらさか】

にじゅうはち　うらたside ページ29

ﾊﾞﾀﾝ
　
　
　
　
　
　
　

坂田が気を利かせて部屋を出ていった。



　


　
　
「そらるさん。泣くの止めてください｡」


「……………っ、はぁ、……泣き止んだよ?」





　
　

そういうそらるさんの目は腫れていて、

まだ、うるうるしていた。





　
　
　
　
「……あの時は、悲しかったです。……でも、理由 があった。……今またこうして出会えた｡それ だけで俺は……凄く安心してます｡」



必死に言葉を紡ぐ

　
　
「悪いのは波奈だし、そらるさんは悪くないで す。だから…そんなに思い詰めないでくださ い｡」


　
　
　
　
　
　
　
「ありがとう……うらたくん…………。」





そらるさんが嬉しそうに言う。
　
　




「また、友達になってくれる?」





　
　
　
　
　
　

　
　
俺は、笑って答えた。








　

　
　
　
「もちろんですよ！」






　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　


坂田side



　




　
廊下に座り込む。





　
　
　
　
「はぁ………｡」





　
　
膝に顔を埋めた。


　
　

　

　
うらさんとそらるさんが仲直り出来るように外へ出てきたけど、




　

　




悲しいのはなんでやろ。



　
　
　

　

そらるさんと2人きりやから嫉妬してるんやろか





　
　
　






ふと、上から声がする。







　
　
「なにしてんの？兄さん。」



「桜弥?」


　

　

　

俺はすこし警戒した。

苦手意識を持っていたから。





　
　
　


「中にはそらるさんとうらたさん……｡で、兄さ んとうらたさんは付き合ってると……｡嫉妬し てるんだ｡」


　

「たぶん………やけど。」



　
「兄さんはさ、記憶戻したい?」



　

　
急な質問。


　

　
記憶を戻したいかなんて……



　

「戻したいに決まっとるやろ。俺が、なにした んか知りたいもん。知って、謝りたいんよ｡」


　
　
「ふーん､そっか。じゃあ、記憶戻るかもね｡」




　
「どういうことなん？」





　

「兄さんの記憶が戻るのは、記憶を戻したいと 強く願い､もうひとつ条件が揃えば記憶は戻 る｡」



　

「もうひとつの条件ってなんなん?」




　

「自分で考えなよ〜！じゃあね｡」




　






　

弟が残していった、記憶を戻す方法。

　

　

　
　

それが実行されるのは、もう少し先の話。

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