薬屋のふたりごと 2【薬屋のひとりごと】

・ ページ26

これは心中じゃなくて殺 人

しかも、殺そうとしたのは妓女の方だ

犯行に使われたのはタバコをつ漬けた毒のお酒

しかし、護衛をつけるほど用心深くなっている男にどうやって毒酒を飲ませたのか

簡単だ毒見をして見せればいい

妓女が無事なら男はお酒を口にする

しかし、実際に毒のお酒を飲めば女も無事ではすまない

そこで道具を使った

酒は二種類器は一つお酒は中身が違えば濃さや重さが違う

水と油まで行かなくとも分離する

重い酒の上に軽い酒をゆっくり注げば層ができて見た目がいい

客を喜ばせる小ネタとして使えば、怪しまれることなく妓女は下の層だけを麦稈で飲んでみせた

普段から使われているそれに疑問を持たぬまま男はそれを上の層から口で飲んだ

男が倒れたことを確認すると毒酒の匂いを誤魔化すために吸っていた煙草の葉をあたりに撒く

煙草の葉を使った心中だと思わせるための偽作工作

それが住めば妓女も上澄みの酒を飲む

死なないように少しの量を

殺人は自分が死んでは元も子もない

男が死に自分が生き残る計算を考えた上で朝方に事を起こしたのだろう

そして。それを都合よく発見する人間がいた

儚げだがそれでいてしたたかだ

・→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す