【utit】満月の夜、君は優しく微笑んで…【短編集】【合作】

続 ページ41

俺の好きな人は、とても可愛い。
優しくて人懐っこい性格も、フワッとした優しい笑顔も、幼馴染として俺の事を支えてくれる所も、全部可愛い。


「……A」


『なぁに？』


「Aは、俺から………はなれない、よね」


『離れるわけないじゃん』


そう、いつもの笑顔で言ったAを愛おしく思う。……あのさ。俺ね、知ってるよ。
最近行方不明になった俺の元彼女、実はAが消してたって事。元彼女だけじゃない……俺が昔関わってた女の子達全員、Aが排除してるんでしょ？
全部、知ってる。何もかも知ってるよ。だって……Aの行動、全部見てるから。
Aは知らないだろうね。この前誕生日プレゼントにあげたマスコットに、隠しカメラと盗聴器が付いてる事、知らないんだろうね。それを普通にカバンに付けてる辺り、本気で何にも知らないんだろうね。


“私、そらるの事が本気で好きなんだよ？なのに……何で貴女が？何で貴女なんかがそらるの彼女なの？”


“何でｯ……こんな子なんかより、私を見てよ…ｯ！”


“………そらる、そらる……大好きだよ…ｯ…”


全部、俺を想ってやってくれてるんだよね？ありがとね、とっても嬉しい。そこまでして俺の事好きでいてくれるのって、多分Aだけだよ。
……でも、俺はAに対して好きって言わない。……言えない理由がある。
……だって、俺が好きって言ったら俺の為に排除してくれなくなるでしょ？
………やだよ。だって、それが俺に対するAの愛なんだから。……俺が告白したら、Aはそれで満足しちゃうんでしょ？俺の為に、排除してくれなくなるのは……嫌だよ。
………ねぇ、お願い。これ以上は望まないから………A、これからも俺の為に排除して？


「…ありがとう」

















「……俺の為に、排除してくれて」









―――そしてそのまま、可愛いAのままでいて?

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